よろず夢置き場

□Obscene girlには着いてけない!
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風に靡く黒髪と学ラン。



クールな表情。



全てに惹かれました…。





Obscene girlには着いてけない!
第二弾






親の転勤で、黒曜から並盛中への転校が決まった。幼馴染みにそれを告げたら、あまり興味が無い様子で、相槌だけで返された。だからムカついて、幼馴染みが少しずつ食べていた高級チョコレートを一気に平らげてやった。

案の定マジギレされた。
だからこっちも負けじと、マジギレしてやった。

そうして、ふと思い返すと、よく喧嘩をしていたな…と、懐かしい毎日が頭を過った。っというか、喧嘩しかしてないな…。

それでも、毎日していた。毎日の日課で、当たり前な日常。これから出来なくなるんだと思ったら、不意に淋しさが込み上げてきた。

でも、今生の別れじゃないんだからと自分に言い聞かせて、並盛中の校門を潜った。
今日から、あの荒れ果てた黒中生じゃない。真面目な学生が沢山いる、並中生なんだ。新しい毎日が、始まっていくんだ…。


* * *


「いや、さっきまでいい感じのエピローグだったじゃん!!なんで急にこうなるの!?」

いい感じに校門を潜って、並中の雰囲気を体で感じていたら、急に黒服学ランのごつい兄ちゃん達に囲まれた。

ってか、ここ中学だよね?
こいつら明らかに中学生じゃないよね!!どっからどう見ても、裏稼業で稼いでる極道系だよね!?

ん?あれ?でも、腕に風紀の腕章…。え?一番乱してんのあんた等でしょーが!!

「神崎桜子さんですね。委員長がお呼びです。応接室までご一緒願います」

「えっ?何で!?私何もしてないよ!!」


ホワイ!?なんで!?今来たばかりなんですけど!!なのに、何をしでかしたというの!?え?ここ並中じゃない?不法侵入とか?


いや、違う。ここは並中だ。校舎に『並』って校章あるし。なら、何をやらかしたの?皆目、検討もつかない。

「何もしていない…?」

「してないでしょ!!普通に学校来ただけじゃん!!なのに何で呼び出されなきゃなんないのさ!」

男達に、勢い良く食って掛かる。口喧嘩なら負けない自信がある。なんたって、毎日幼馴染み相手に磨いていたからね。

食って掛かってくる事が不思議だったのか、ごつい兄ちゃん達は、不思議そうな表情で見下ろしてくる。あ、この人達怖い…。黒い服が余計に雰囲気出してるんだもん!!まぁ、学ランだけどね。

一歩、男達から後退する。
っていうか、こいつ等の委員長ってどんな人だ?やっぱごついよね!!組長並に貫禄あるに決まってるよね!!

逃げたい…。今すぐ逃げたい。
不良やヤンキーとかならまだ相手が出来る。でも、極道系は無理だって!!だって中学生だし!!

いやいや、極道系は中学にいないよね。って事はやっぱり中学生なんか…。いやいや、中学生でもそっち系に進んだりなんてありだよね?無い訳じゃないよね?

どーしよ…やっぱ逃げたい!!

逃げようと踵を返そうとした瞬間、ごつい兄ちゃんが浅い溜め息を零した。そして、呆れながら口を開く。

「神崎さん、今何時ですか?」

「へ?えぇー…お昼過ぎましたねぇ…」

ごつい兄ちゃん達に振り返り、自分のしている腕時計に視線を落とすと、針は十二時を過ぎていた。因みに、今は十二時十分。午前の授業が終わり、生徒は閑かな昼休みを過ごしている最中。
そして、そんな午前中の授業を無視して、さっきまで夢の中にいた事を思い出し、呼び出される理由が理解できた。

「あっ!遅刻した事が不味かった?いやぁー…前の学校の時の癖が抜けなくてねぇー。じゃっ!そういう事で!」

再び逃げようと、「じゃっ!」とジェスチャーをし、男達に背を向けた。しかし、そう簡単には逃げられない。

「駄目です」

「ぐへ!!」

首根っ子を捕まれ、一瞬意識を失った。ってか、三途の川が見えた気がしたんですけど!!
言い訳せずに、ありのままの真実を述べたけど、見逃してくれるはずもなく。

黒曜中は、不良の溜り場みたいな学校で、時間通りに学校へ来る生徒なんて半分もいなかった。だから、他の皆と同じように毎日遅刻していた。寧ろ、遅刻をするのが当たり前で、時間通りに学校へ行った事なんて一度もない。
黒曜に入ってから続けていた習慣。並中に来たからって、そう簡単には改められない。
でも、今から通うのは黒曜中じゃない。並盛中なんだ。


ってか、時間通りに行かなきゃいけないんだよね。


「遅刻の範囲を越えています。しかも、転入初日に。風紀委員からの厳重注意がありますので、力強くでも連れていきます」
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