Little QUEEN〜小さなお姫様〜

□自宅訪問
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夕日が沈み始め、青春学園では一日が終ろうとしていた。
部室でレギュラー陣が着替えていると、先に着替えを済ませた菊丸が、部活の後とは思えない程、元気な様子で不二に話し掛けた。

「ねぇ不二、明日部活休みじゃん!暇だから不二ん家に行きたい!!」

菊丸の「不二ん家に行きたい」と言う言葉を聞いて、耳をダンボにして聞いているレギュラー陣。そして大石と手塚以外のレギュラー陣が不二に詰め寄り、一斉に口を開いた。

「「「「俺も行く(っス)!!」」」」

勿論目当ては花月。
そんな事とは知らず、外のベンチで周兄を待っている。
不二はレギュラー陣の思惑を知っているのにも関わらずに、笑顔で快く承諾した。

「うん、いいよ。でも…」

暫く間を置いて、レギュラー陣の反応を見てから、静に口を開いた。
黒いオーラを纏っていて、かなり恐ろしい光景だった。

「花月には手を出さないでね…」

しっかり釘を差されたレギュラー陣は、あまりの恐ろしさに、反射的にうんと頷いてしまった。レギュラー陣の思惑はすっかり阻止されてしまった。

「手塚と大石も来るよね…?」

ちゃっかり大石と手塚も誘っている。
二人は不二の笑顔に危険を感じ、「あっ、あぁ」と同時に頷いた。
こうして、不二の家に行く事となったレギュラー陣。





第10弾-自宅訪問-





午前十時に、不二家のチャイムが鳴り響いた。
ドアを開けると、リョーマと桃城が、お菓子の袋を持って立っている。

「来ましたよ!!」

「さっ、入って」

二人を招き入れ、静にドアを閉めた。
そのまま二階の自分の部屋へと案内する。
部屋に着いたと同時位に、二度目のチャイムが響いた。
二人に待っててと告げると、部屋を出て行き階段をパタパタと降りて、玄関を開けた。

「やっほー!不二ぃぃ!来たよぉー」

物凄い機嫌のいい菊丸と、ジョギング姿の海堂、意外にも普通な(意外じゃない)大石と手塚の姿があった。
不二はにこっと笑って、四人を招き入れた。残る客は河村と乾だけとなった。

「タカさんと乾来ないね…」

不二が、自分の部屋でやりたい放題の者達を見て、溜め息混じりに呟いた。
それを聞いていた大石も何だか心配そうな表情を見せた。

「そうだな…もうそろそろ来てもいい頃だけど」

そんな話をしていると、三度目のチャイムが鳴った。

「来たみたいだな」

隣に座っていた手塚が呟いた。何気に話を聞いていたらしい。
不二が立ち上がり、玄関へと向うと、もう玄関が開けられていて、乾がタカさんと一緒に立っていた。
乾の手にはなんだか怪しいバックが持たれていた。そして何だかタカさんは疲れている様子。それを不思議に思い、不二はタカさんにいらっしゃいといった後、理由を聞いた。

「タカさん…何だか疲れている様子だけど…」

「うーん…やっぱり失敗だったか…」

答えたのはタカさんではなく、隣に居る乾だった。
しかも顎に手をあてて、何かを考えている様子。

「実は不二の家に行く前にタカさんで、実験したんだよ。乾特性スペシャルデッラクスハイパードリンクを」

どうやらタカさんが疲れているのはこう理由らしい。
二人は一緒に不二の家に行く約束をしていて、タカさんが乾の家に迎えに行った。タカさんが乾を迎えに行くと、乾は先程のドリンクの研究をしていて、丁度出来上がったところ。
人がいいタカさんを利用して、そのドリンクの味見をさせ、あまりのまずさにタカさんは倒れてしまい、少し休ませてから不二の家に来た。という、タカさんにとってとても可哀想なエピソードだった。
友人の家に来る前に、乾のドリンクを飲ませるのはどうかと思うが…。
不二は、乾ドリンクは平気なので、そんな事は思わず、とりあえず二人を部屋へと案内した。
部屋に入ると、菊丸・リョーマ・桃が不二の布団の上で、枕投げをしている。
しかも煩い。
不二は半ば呆れながら自分がいた所へと戻った。
煩い中、手塚と大石は不二の部屋においてある文庫本に目を落としている。
よく読めるね…と不二は感心しながら二人を見ている。
その内、三人が枕投げをしていて、その流れ枕が海堂にヒットし、何時の間にか海堂も枕投げに参戦していた。

コンコン・・

煩い中、不二の部屋のドアが叩かれた。
はぁい、と返事をしながら立ち上がり、ドアを開けると、お盆にジュースとお菓子を持った裕太が立っていた。ちょうど帰って来ているらしい。
母に持って行く様にと頼まれたのだろう。少し照れながらお盆を差し出した。
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