企画(ぎんたま)
□ハロウィン企画
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case7.KOTAROU
「とりっくおあとりーと」
桂にピースをしながら告げる桜。
しかし桂はなんのことか解っていないのか、不思議そうに振り返った。
桂は何やら書類と向かいあっていたみたいだ。
「なんだいきなり…」
「今日はハロウィンの日だよ」
「なんだその…はろうぃんとやらは…」
「知らないの?ハロウィンっていうのはお菓子をくれない大人に復讐する日だよ。お菓子上げないと悪戯されちゃうんだから」
少し違う気がするような当たっているような…。
まぁ、子供達がというのは当たっているから良しとしよう。
「何!?悪戯となっ!よし桜!お菓子はないから俺に思う存分悪戯していいぞ!」
両手を広げ、桜を受け入れる体制に入る。
しかし、桜は桂の腕には飛びつこうとしない。
その逆で、嫌な表情を浮かべている。
「子供の行事なんだから、んな厭らしい悪戯のわけねぇーだろ」
「まぁ遠慮するな」
「してねぇーよ」
きっぱりと言い切る桜の態度を、勝手に照れ隠しだと勘違いして、桂は突っ走る。
いい加減ウザくなってきた桜は、いいことを思いつきニヤリと笑った。
「えいっ!」
そう言いながら、未だに両手を広げている桂の腕に飛び込んだ。
それが嬉しくて、桂は桜を抱きしめ返す。
「やはりそうか。可愛い奴め」
桜の頭を優しくなでる。
しかし桜はそんなのを気にすることなく、何やらゴソゴソと桂の着物の裾を漁っている。
何かをみつけている様子で、表情は真剣そのもの。
(あっ!あった)
お目当てのものを発見した。
嬉しそうな表情を浮かべて、それを手にする。
用がなくなり、スルリと桂の腕から抜ける。
逃がさぬように桜を捕まえようとするが、桜の方が一枚上手だった。
「桜?」
「お菓子もーらい!」
実に嬉しそうに笑いながら、桜は手にしたんまい棒を桂に見せる。
「いつの間に…」
「これで悪戯なしだね」
「仕方あるまい…」
少しがっかりしながらも、桂は納得した。
悪戯して欲しかったが、お菓子を取られてしまったのなら仕方ない。
美味しそうにんまい棒を頬張る桜。
それを見て、ハロウィンとやらも悪くないな…なんて思う桂。
悪戯なんて、自分がいつだって出来るのだから…。
当の桜は、桂に悪戯しなくて良かったと、一人幸せに浸かっていた。
意外と、はろうぃんとやらはいいものらしい…。
終
次→高杉。
執筆完了【2007/10/31】