企画(ぎんたま)
□粉雪-高杉編-
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「俺には桜にしてやれる事なんてねェ…。望むような事はしてやれねェ…」
桜の望む全ての事は叶えられねェ。
だけど、感謝はしてる。
あのまま桜に拾われてなかったら、俺は行き倒れてただろうよ。
生きる光りを失った俺に光りを与えてくれたのは、間違いなく桜だ。
口にはしねぇが、感謝はしてんだ。
だからその借り…。
一生掛けて返してやる。
「借りは必ず返す。一生掛けて…借り返してやるよ」
高杉の言葉に、桜は埋めていた顔を上げた。
「一生…?」
「あぁ…。一生掛けてな。桜が寂しいって言うならずっと傍にいてやる。傍にいることで借り返させてもらうぜ」
桜になら誓ってやっていい。
この人生、お前に捧げると…。
寂しい思いしないように、もう桜を一人にしたりはしない。
どんな時だって傍にいてやる。
孤独や恐怖なんて与えさせねぇ…。
「だから…お前は大人しく俺に愛されてろよ」
「晋…」
優しく、だけど自信満々に笑う高杉を見て、桜も笑顔を浮かべた。
高杉は嘘をつかない。
本当の事しか言わない。
だから…、この約束だって必ず守ってくれる。
もう味わう事もない。
孤独も恐怖も…。
全て、晋が包み込んでくれる。
晋に出会って良かった。
最愛の人が晋で良かった。
大人しく、私は晋に愛されます。
そして…、私も愛します。
「うん…」
「愛してる…」
「私もです」
どちらからともなく近付く唇。
お互いの温もりを分け与えるように、長く深い接吻。
「桜、暖めさせてもらうぜ?」
「お好きな様に…」
再び重なる唇。
この出会いを、運命と呼ぶんだよ…。
私達を見守って来てくれた粉雪が…、そう囁き掛けて来た気がした。
出会った時から、全ては必然しかない。
出会ったのも必然。
恋に落ちたのも必然。
出会った時から、この恋は紡がれていた。
唇重ね、心重ねて…。
お互いの思い、粉雪に乗せて遥々やってきた…。
Happy Merry Christmas!!
執筆完了【2005/12/07】
更新完了【2005/12/25】
移行完了【2013/09/19】