企画(ぎんたま)

□粉雪-銀時編-
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粉雪舞うこの季節…


あなたが暖めてくれるから…。





粉雪-銀時編-





「さっみぃー…寒い寒い寒い…ガクガク来るよ。この寒さマジでさみぃなぁー…」

「……」

「なぁ桜やっぱ此処は人肌で暖めて「一人で興奮してあったまってろ!!」

万事屋にはストーブ以外の暖房器具が無い。
それでもストーブをずっと付けていれば、寒さは十分凌げる。
それなのに、万事屋の主人でもあり、桜の恋人である坂田銀時は、暖かいにも係わらず、桜にくっつこうとする。

「桜つめてぇーなぁー…」

「変な事しないって誓えるならいいよ」

桜は銀時に笑顔で言い返した。
銀時が抱き着く時は、必ずと言っていいほど、ろくな目に合わない。
組み敷かれるに決まってる。
嫌な訳じゃない。
ただ…、照れ臭いだけ。
いつ、新八と神楽が帰ってくるか解らない。
最悪の場合、最中に帰ってきてしまうかもしれない。
絶対にそれだけは避けなければならない。
教育上、そんな場面見せるなんて出来ない。
だから、桜は桜なりに色々我慢しているのだ。

「そんな事俺が出来る訳ねぇーだろぉ」

「んな、さも当たり前みたいに言うな」

「そもそも桜が可愛すぎるからいけねぇーんだ!!」

銀時は椅子から思い切り立ち上がり、大きい音を立てて机を叩いた。
銀時の言葉に半ば呆れながら、ソファで寛いでいた桜はめんどくさそうに口を開いた。

「自分の理性の無さを恋人のせいにしないで下さい」

桜を襲ってしまうのは、銀時に理性という制御装置がないから。
桜のかわいらしい仕種を見て、理性が効かず、桜を組み敷いてしまうのだ。

「桜が可愛すぎるから理性がなくなるんじゃねぇーか!!」

「ってかそんな自信満々に言わなくても…」

力強く理性がない事を認めた上で、銀時ははっきりと言い切った。
その銀時の言葉に、呆れながらも嬉しさに笑みを零した。

可愛いと言われるのは銀時だから嬉しい。


他の奴なら、心揺るがす事は出来ない。


大切にされている証を感じる事出来る。


冷たくしていても、愛情の裏返しって事に気付いて?


恥ずかしいって事に…。



銀時は寒いと言っておきながら、窓へと歩み寄る。

「ったく本当にさみぃなぁー…あっ…」

「どうしたの?銀ちゃん」

銀時の間抜けな声が聞こえて、桜は銀時の方に視線を向けた。
あれだけ寒いと言っていたのに…と不思議に思いながら、窓の外に視線を向けている銀時に近付いた。
そして、窓の外を見れば…

「あっ!!雪だ!!すごぉーい…」

「おわっ!!」

銀時を退かして、桜は窓から見える綺麗な景色を独り占め。
曇っている雲から、無数に舞い降る小さな花。
繊細で儚く降る雪に、桜は心惹かれた。
フワフワと舞う真っ白い雪は、粉雪で、触ったらすぐに溶けてしまいそう。
逆に、その儚さが美しさに拍車を掛けている様にも思えた。
手に乗せたらすぐに消えてしまうと思うと、とても寂しく感じた。
真っ白に、粉雪が街を染めていく。
瞳を輝かせて外を眺める桜の背後では、銀時が一人葛藤中だった。
あまりの桜のはしゃぎようが可愛くて可愛くて…。
普段強気な彼女だから、こんな風に無邪気に喜ぶ姿が可愛くて仕方ない。
桜の背中を見つめながら、銀時は考える。

(だ…だ…だ、だ抱き着きたい!!桜可愛すぎるだろ!!でも桜に抱き着いて変な事しないで居られる訳がねぇー…よく考えろ。よぉーく考えるんだ!!坂田銀時!!)

先程言われたばかり。
しかし…、変な事しないなんて銀時には出来ない。無理に決まってる。
しかし…、そんな銀時の葛藤など知るはずがなく、桜は雪に夢中。

「きれぇー…今年は降らないかと思ってたのに…。銀ちゃんと見られて良かった」

その言葉に、銀時は思考停止。
さりげなく…、思った事を口にしただけ。
勿論、桜に自覚症状はない。
こんな可愛い彼女相手に、我慢しろって方が無理だ。
よぉーく考えた結果なんて、所詮思い立った考えと、行き着く先は同じなんだ。


桜が…



可愛過ぎるからいけねぇーんだぞ…?



「わっ!!ちょっと銀ちゃん!!」

いきなり背後から抱きしめられ、突然感じた力と温もりに、桜は戸惑いと驚きを隠し切れなかった。
だけど、そんな桜の反応さえ、可愛いと思ってしまう。

「寒いから桜抱きしめさせて…」

「もう抱きしめてんじゃん…」

顔を真っ赤にしながら反抗してみるが、全く意味を成さない。
強がりな彼女でも、惚れた男には弱いらしい。

「桜…俺も桜と雪見られて良かったぜ」

「ん…?」

「今年の初雪だからな。何をするでも一番は桜とがいいからよ」

「銀ちゃん…」

「桜大好きだぜ…我慢出来ないのも愛故ってやつだな」

桜が大切で仕方ないから…、愛しているから、俺だけのものにしたい。


俺がどんだけ深く桜を愛しているか…。
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