金銀花

□恋蜜
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クリームたっぷり。果物たっぷり。そして、アイスもたっぷり。
見ているだけで気持ち悪くなってくる。美味しそうだけど、量が量だけに、食べられる気がしない。そんなパフェを、嬉しそうに食べ始める銀時。

桜子も、手に持っている抹茶ソフトが溶けない内にと、再び食べ始める。
無我夢中で食べている銀時。不意に、桜子がアイスを食べ終わっている事に気付いた。
スプーンでクリームを掬い、桜子へと差し出してみた。

「食べるか?」

「うん…」

躊躇いがちに、銀時が差し出してくれたクリームをパクっと口に含む。口の中で甘く広がっていく。何処までも何処までも…。際限なく…。っていうか、何かこれ…。


「って甘!!何でこんなに甘いの!?普通のクリームの数倍甘いじゃない!!」

「銀さん仕様じゃよ」

「さすが親父。解ってるなぁ」

「解ってるじゃないわよ!糖尿病になったらどーすんのよ!っていうかなりかけてんだから注意しなさいよね…っ!」

「はい…」

桜子の迫力に、銀時は頷く事しか出来ない。桜子に睨まれたら、逆らえない。惚れた弱みもあるんだろうけど、単純に怖いから。
自分を心配してくれる桜子に、何だかんだ言いつつ愛を感じた。
怖いけど、ちゃんと愛されている。素早くパフェを完食し、大満足。それを見ていた桜子は、すっと立ち上がった。

「さてと、次行くわよ」

「え!?まだ買い物すんのかよ!」

「当たり前でしょー。可愛い服一杯買わなくちゃ。好きな人の為にね!」

「えっ…好きな人って…」

「あんたしかいないでしょ!一々聞き返さないでよね!」

顔を赤くしながら、銀時に背を向ける。いきなりの桜子のデレにやられ、もう我慢の限界。

「桜子ー!!好きだぁぁ!!」

「ちょっ!!抱き付くなぁぁぁ!!!!」

背後から抱き締められ、腕の中で暴れまくる桜子。道の往来で何してんだか…。

世界で一番、桜子が可愛い。だから、桜子以上に好きになれる子なんていやしない。
たまにしかデレないけど、そこが堪らなく愛おしくて好きでどうしようもない。

もう、桜子以外愛せない。いや、興味すらない。
銀時仕様のクリームより甘い二人。けど、桜子の愛情表現は痛い。丁度店から出て来た神楽に助けを乞い、思い切り銀時に制裁。

「若いっていいねぇー」

二人を見て、甘味屋の店主は、しみじみと呟いた。
甘味よりも甘い甘い恋の蜜は、甘味屋じゃ味わえない。

「桜子ぉー!!!」

「抱き付くなぁぁぁぁ!!」

顔を真っ赤に染めながら、銀時から逃れようとする桜子。
甘味だって、しつこいよりあっさりしている方がいい。今はローカロリーの時代。
恋の蜜は、あっさり?しつこい?はてさてどっちがいいのやら…。





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