おはなし
□近藤さんの誕生日
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ここはかぶき町のファミリーレストランでお馴染みのでにぃす。そこに大の大人二人が向かい合って座っていた。
その一人の男は煙草をふかしながら、
「・・・フゥー・・まァこれでも食いなさいよ」
と言いご飯が見えないくらいマヨネーズがかかっているというグロテスクなどんぶりを向かいの死んだ魚の目の男に勧めた。
「・・・前から思ってたンだけどさ・・・よくこんなの作ってくれるよな・・・この店・・・」
うわ・・・とか声を漏らしながらそう言い捨てたのは万事屋銀ちゃんのオーナーこと坂田銀時。
「こんなのとか言うな。叩っ斬られてぇのかテメェ」
瞳孔開き気味で今にも抜刀しそうなこの男は真選組鬼の副長こと土方十四郎。
「まァ落ち着けよ・・・俺は食わねェけど・・・で?話って何」
近くにいた店員にパフェを頼んだ銀時は今回の”依頼”についてたずねた。
「チッ・・・実は・・・今日・・・9月4日だろ?」
「実はも何も今日という日は9月4日だね。うん」
「近藤さんいるだろ?」
「うん」
「ゴリラだろ?」
「うん」
「その近藤さんが今日誕生日なんだけどよ・・・」
煙草を灰皿にこすりつけ新たな煙草を取り出す土方。
「へェ良かったじゃん。早く帰ってバナナでもやってこいよ」
「バナナだけじゃ喜ばねェからテメェに頼むんだろが」
バナナはやるのかよ・・・そう思いながらやってきたパフェを頬張る。
「ゴリラの誕生日ごときでかりだされるとは・・・で、俺は何すれば良いンだよ」
「志村の姉「却下」
土方が言うのに銀時は言葉を遮り言い捨てる。
「まだ何も言ってねェだろが!」
「大方見当がつくって。”志村の姉貴と一日デートしてもらえるよう頼んでください〜すいませ〜ん”とかだろ?」
「なんで俺屋上でバレーボールしてるOLみたいになってンだよ!・・・まぁそうなんだけどよ」
フーッと煙草の煙をはきながらつぶやく。
「だから却下。俺殺されるもん」
「金ならいくらでも出すが?」
そう言いながらトランクを取り出しパカっと開けると、万事屋ではなかなか稼げないような大金が。
「・・・っいや!それでもまだまだ・・・」
「甘味奢り券付き」
「やります」
甘味を奢るという条件付きであっさり降参してしまった銀さんなのでした。