短編1

□after………
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首筋にかかる吐息が擽ったくて、目が覚めた。



……?
なんで…ベッドの中?



昨日は……、

……………………。

………!!

ヤだ!……途中から記憶がない…………!!!






少しだけ体をずらして、眠ってる妖一の顔を見詰める。

いつもよりあどけなくて、優しくて……
でもやっぱり色っぽくて、ドキドキする寝顔。

久し振りに見た様な気がする………。










『あいしてる』










言葉が勝手に零れて、思わず笑顔になる。




さすがの悪魔サマも、部活の後にあれだけ激しい‘運動’すれば、疲れて当然よね……。


そういえば…あんなに情熱的な妖一、初めて見た。

アメフトしてる時は冷静さを失わないし、
普段はポーカーフェイスであまり感情出さないし………。





「まだ足んねぇ…!……もっと、壊れろ…
…隠さねぇで…名無娘の、全部…オレに、曝け出しやがれ……!!」





そこからの記憶が…
……ない…………。


自分で思い出したコトなのに、顔が火照ってきちゃう………。

やめよう!








……先に、シャワー浴びようかな。


思い付いて、妖一を起こさない様に静かに起き上がる。


…………。


はしかか何かですか?

ってツッコミたくなるくらい身体中に付けられた緋や薄紫のキスマーク…。
思わず振り返ると、枕に片肘をついて私を無言で見ている妖一がいた。



『……おはよ』

他に言う事は沢山あるのに、恥ずかしくてそれしか言葉が出てこない…。

目が、合わせられない。



妖一は無言のまま起き上がると、俯いている私の腕をひいて自分の腕の中に私を閉じ込めた。



いつもより少しだけ体温が高いのは、寝起きだから?
それとも、寝起きなのに速い鼓動のせい?



「…名無娘……」


抱き締めた腕に力が込められて、首筋に顔を埋めた妖一が私を呼ぶ。


妖一の背に腕を回して抱き返すと、甘えるみたいに頬を肩に乗せてきた。


なんか……カワイイ。










ヤベェ………。


名無娘のカオが見れねぇじゃねぇか………!



クソッ!
なんで昨日の記憶がねぇんだ?!





勿体ねぇ………。



目ぇ覚ましてからあんだけ名無娘が赤面しやがるって事は、
かなりヤっちまった…って事だよな。



てか、コイツは全部覚えてやがんのかよ………?





………………。


覚えてねぇモンを、考えたって仕方ねぇか…。




開き直ったオレは、名無娘の肩に乗せていた顔を上げて、名無娘の唇を塞いだ。






このままヤっちまっても構わねぇ。


頭の片隅でチラリと本能が囁く。





が、オレの肩を押さえた名無娘の一言で、オレはテメェを笑いたくなっちまった。





『朝練、あるんじゃないの?』







かなりイカれてんな、オレ。







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080415

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