TOS
□押し込めたのはxxxxx
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ゼロスside.
特別だったのに。
あいつだけは、自分の中で数多の女性の中でも特別な存在だったのに。
口には無論出さないし、態度にもあまりださない(だしてない、つもりだ)
神子だと崇め奉られ、人間個人としてでなく「再生の神子」としかの目で見られず存在価値の無い自分(肉親にまで存在拒否だって、もう笑うしかないだろ?)
だけどそんな自分を、一個人の人間として見て 叱咤して奮い立たしてくれたのは 初めてだったんだ(しかも年下のじゃじゃ馬にだぜ?)
なのに、一体どうしてなんて。
謝らせて頂こう、最初は酔った勢いだった。
誰かの記念パーティか何かだったか(そんなどうでもいいことは記憶の定かではないのだが)珍しくあいつがドレスなんて着て出席しやがった
じゃじゃ馬が、お上品にワインを揺らして頬笑みを浮かべてやがった(何か天変地異の前ぶれかと確実に思ったね!)
飲みなれないアルコールに、無防備な表情 赤く染まる頬に、誘うようなその瞳
つい手を引いて自室に連れ込んで、後は まあ 皆様のご想像の通り(はいはいお子様はまわれ右!)
しかし2度目、3度目、4度目………は、理由を問われれば答えに詰まる。わからない、だけど なぜか なんだ
ただの人間としての一次的欲求を満たすのが第一の目的ではないことはわかる、だけど明確な理由は未だに理解できない
こうして夜中に家を訪ねて(いつの間にか迎えるように施錠しなくなったなんて警備大丈夫なのか?)
こうしてまた過ちを侵す(消えず、ただ消えない染みのように残るだけなのに)
夜と冬が、過去の記憶を連れて襲いかかってくる
血の匂いだとか、あのおぞましい表情だとか、思い出したくもない言葉だとか(やめてくれ、頭をよぎるのは!)
嗚呼俺は一人の女なんかに縛られてたまるか、失うのを恐れるものなどつくってたまるかと(思っていたのに)
どんなに他の女性と過ごすところで、埋まるどころか落ちていく(心の隙間ってやつが、広がっていく)
馬鹿らしいだろう?わかっているのに認めたくなくて、親と同じ運命を辿る事を恐れて 愛の囁き一つすらできない(なんて、愚かでしかない)
なあ、無謀なんだと思う 無理だとも充分理解してる
こうしてお前っていう存在に依存して、一体この先どうなるというのだろう(再生の神子とミズホの次期統領だぜ?)
そんな理屈とか世間体とか常識だとか、吹っ飛ばして本当は言ってやりたい
(俺は、お前のこと)
だけどもどうせ、女癖の悪い俺さまの 口軽な発言なんだって お前はきっと流すんだろうな
end