TOD2
□infight4
3ページ/6ページ
*
「あーあ………」
何回目のため息だろうか
嗚呼、そういえば誰かがため息をすると幸せが逃げてくだなんて言ってたっけ
どういう根拠でそんな事言い始めたんだか
ハロルドは小さくため息を吐くと、机の上に頬を置いた
その視線の先に、桃色の小さな箱がある
(何やってんだか………)
自分でもよくわからない
この手作りのチョコレートが入って綺麗にラッピングされているまるで『本命』のチョコレートのようなこの箱を
自分はなんで研究をする時間を割いてまで作ったのか、これを誰に渡したいのかどうしたいのか
その答えはわかっているのに、過程が上手く理解できない
理解してしてしまった答えまでの道筋を考えるのは、好きでないのに考えずにはいられない
脳裏に浮かぶのはやはりあの、聖女
今頃ジューダスに満面の笑みを浮かべながらチョコレートを渡しているんだろうな、と思ってちりっと痛みが走った
(こんなの作るだけ無駄だったのよ)
そう思ってるのに、その箱を掴んでゴミ箱に投げすてる事ができない
焦りと、苛立ちと不安と ぐちゃぐちゃと丸まって増大していく感情がまた一回り大きくなった気がした
唐突に頭の中に彼女の声が木霊する
『やっぱり、クールで 知的な人っていいわよね』
『ごめんねジューダス、ジューダスが危ないって思ったらつい体が動いちゃって』
『一人ぼっちは……ちょっと寂しいな。ジューダス、少しだけ 一緒にいてくれない?』
『あ、見つかっちゃった』
『ジューダスは渡さないわ』
別に私のものでもないのに