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「はい、ジューダス」
















にこにこと一見屈託のなさそうな笑みを満面に散らしているリアラだが

その笑みの奥に隠される得体の知れない野心にジューダスは眉間に皺を寄せた

目の前に突きつけられた箱を見る、先ほどカイルに手渡していた物と大層変わりは無いようだ

何のつもりだ、と目で訴えかけるがリアラはそれに気づかないフリをした












「私からのじゃ、いらない……?」

「僕はそういう行事に興味が無い、ロニにでもくれてやればいいだろう」

「ロニはナナリーがいるじゃない…………あ、ジューダスもそういうこと?」

「どういう意味だ」

「ハロルドが」










鼻で軽くあしらう余裕さえ見せていたジューダスの視線が、鋭くリアラにうつった

リアラは笑みを深めた、やっぱり とばかりに












「ジューダスはハロルドからもらうから、私からのチョコレートなんていらないってこと?」

「違う、そんなつもりは」

「じゃあいいじゃない、私からのチョコレートもらったって」












ね、と胸に赤いリボンでラッピングされた箱を押し付けられ、返す言葉も無くジューダスは渋々箱を受け取った

遠くでカイルがリアラの名を呼び、それに答えるとふわりとワンピースを風に揺らしながらジューダスに背を向け、走る








止まる









何かを思い出したかのように振り返ってジューダスの前まで歩くと、ちょいちょい と手招きをした

どうやら耳を貸せという事らしい









渋々ジューダスが少しだけ体を屈めてやると、リアラは背伸びをして自分の口をジューダスの耳に近づけた

手で彼の耳を覆い、まるで内緒話をするかのようにぼそりと呟く












「な………」













その言葉にジューダスは目を見開いて彼女にその真意を問いただそうとするが、

桃色のスカートを揺らしながら彼女はカイルの元へと走り去ってしまった















(どういう事なんだ、一体…………)















手の中にある可愛らしくラッピングされた箱を一瞥して、ジューダスはため息を吐いた


















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