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inferiority complex
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情けない

情けない

情けない










だけど悔しくて、涙が出ちゃうよ








泣くなんて、男らしくないなんて百も承知だし

だけどどうやったって涙がこぼれるんだ





熱くボクの心を揺さぶって、無力な自分を追い立てるんだ






プレセアの事だけじゃなくて

ボクはいつだって無力だったから






本を読んで知識はあって学力はあったって

それだけで何もかもうまくはいかないんだ

馬鹿でもことわざも九九もきちんと覚えてないロイドの方が

猪突猛進で何も考えずに突っ込んでいってるのに物事はうまく進んで

ボクばっかり先の事とか考えすぎてがんじがらめになってはうまくいかなくて









「ジーニアス……?」








ぎしり、とベッドが軋んでプレセアが起きたって事を教えてくれた

嗚呼情けない

ボクは彼女の事を慰めるどころか、自分の事ばっか省みて一人で非力ぶっては泣いて








ふわ、






プレセアの手が、ボクの髪を撫でた

髪を、頭をするりと優しく







「プ、プ プレセ、ア?」







情けないけどボクは涙でべっちょりの顔をそこであげてしまった






「ジーニアス」






プレセアは上半身だけを起こした格好で、ボクの目をじっと見つめる







じっと








「ありがとう」








小さな声で、ぽつりと呟く










ボクの手を握ってプレセアはもう1度小さく呟いた








「ありがとう」







涙が止まる








「どうして……?」

「ジーニアスが、傍にいてくれたんですね」

「え?」








彼女の瞳が少しだけ和らいだ







「起きた時……寂しくなかったから」







ありがとう、もう1度彼女が呟いてボクの目頭はまた急速に熱を帯びて






「プレセア……」







情けないけどまた、涙が一粒零れ落ちるんだ




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