TOS

inferiority complex
3ページ/5ページ












名前を呼ぼうと口を開いた

でも、できなくて





その寝顔から、目が離せなくて




ベットの脇に座って彼女の顔を見つめる

その透き通る白い肌

その薄桃色の二つに結われた髪




ずっと見つめていたいくらい





その睡眠の邪魔をする事が、自分にできようか




彼女へとのばしかけた手を止めた






自分の手の甲のエクスフィアが、目についた





(プレセア)





ボクは君に触れてもいいのかな





いつだって無力で
守られてばかりで
非力な自分は何もできなくて






そんなボクに、君に触れる資格が あるの?





「ん、んん………」




小さく呻く彼女の声に、心臓が飛び出たかと思ったくらいに驚いた

ばくばく、と激しく脈打つ心臓を服の上からきゅっと押さえ付けて、大きく息を吐いた





眉間に皺を寄せて小さく呻いた彼女の顔を覗き込む





「!」





つ、と頬を伝って流れ落ちた涙がベットシーツに染み込んだ




「アリ……シア……」





彼女から零れ出た亡き妹の名前
うわごとのように呟いて、また一筋涙が頬を滑り落ちる











ずき、と胸が針で刺されたような痛みを感じた






ちくり、ちくり、ずきり








ねえボクはこんな時でさえ君の為に何ができるのか、わからないんだ













悔しいよ、こんなの









あいつだったらどうしてた?

リーガルだったら、君の為になれるような事してあげられたのかなんて

考えちゃって、苛苛して どうしようもなくて








ぼす、とベッドのシーツに自分の顔を押し付けた







次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ