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inferiority complex
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食事の用意ができたようだから迎えに行ってきてほしい



姉からの依頼を自分が断れた事が、はたしてあっただろうか?
否、言うまでもなく無いだろう



でも、今回は内容が内容なだけに足取りも軽くなる




『プレセアを迎えに』




そんな事だったら喜んで




口元がだらしなく弛むのを感じて、手元がそわそわと落ち着かなくて、一歩足を踏み出すたびに心臓の鼓動が早くなったような気さえした





やっと辿り着いたドアの前で、ノックをする勇気が持てずに拳を握ったまましどろもどろしていた




(もう、しっかりしろよ)



自分自身を叱咤した後、勇気を振り絞ってドアを軽く叩く







返答は、無い






「プレセア………?」




女の子の部屋だ
勝手に入っちゃいけないなんてこと、わかってるけど



何かあったのかって心配でたまらない
彼女への恋情は一目惚れから生まれたものだが






自分が守る

守り続ける






そう心の中で誓ったのだ、だから





がちゃり、ドアノブを左に回して恐る恐る押すとぎしりと音を立ててドアが開いた



幾つかあるベット、ランプ、テーブル
簡素な部屋に、彼女の姿は無い






いや







「プレセ、ア?」





ベットに横たわる桃色の頭にベットに駆け寄った

すうすう、と定期的な呼吸を繰り返す彼女の目蓋は閉じられていて、胸がどくんと高鳴った





(か、かわいい……)





ああもう、顔がにやけちゃうってば






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