TOS
□だいすき 3
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「………帰らねーの?」
「その言葉、そっくりそのままアンタに返すよ」
いつの間にか日が、傾いていた
公園に差し込む西日が暖色のオレンジを纏って、輝く
取立て話す事も無いけど、そのままのんびりと物思いにふけっていた俺さまは
隣にしいながずっと座っている事にまた、胸が熱くなっちゃったりしちゃって
「しいなってそんなに俺さまの事が好きなのか」
「おかしな事言うんじゃないよ、このエロ神子!」
ぼす、とまた腹部に怒りの鉄槌が
だから俺さま、サンドバッグじゃないんだってば、ねえ
「ねえ、しいな」
「何?」
むすっと膨れた顔の彼女は、夕日に照らされてオレンジ色に染まっていた
「抱きしめて、いい?」
「な………」
殴られる、て構えていたのに 意外にもしいなは攻撃しなかった
目を丸くさせて俺さまの目を見て何度も瞬きしちゃってんの、可愛いねえ
「しいな」
しいな
しいな
愛しくて、たまらなくて
世界中の誰よりもお前だけが好きだなんて言っても
信じてもらえないのは百も承知だ
だけど
だけど愛しいんだ
お前がずっとずっと、俺さまの頭の中を支配してんだよ
ガキんちょみたいなチャチな恋愛かもしんねーけど
誰とも本気で向き合う事を止めて、チャラチャラしてる俺だけど
それでもお前に対するこの思いだけは
ただ一心に、ひたむきなんだ