TOS

だいすき 2
2ページ/9ページ










あの波乱と怒涛のパーティー(自分にとってだが)からもう1週間程たっただろうか

相変わらずの女への態度にはもう、ため息すら出ない






今日もメルトキオで意気揚々と女性に話しかけては花束貰ったり、食べ物貰ったり








「しいな?どうかしたのか?」

「あ、ああ………」









じわり、広がる









ロイドに話しかけられると、少しだけ胸が苦しくなる

以前はもっと、胸が熱くなってどぎまぎしたのに

どうしてその気持ちは薄れてしまったのだろう









それが誰のせいかなんて、百も承知だった

だけど、相手の態度が態度なだけに 素直にそれを認めるのは嫌だ







「ゼロスも相変わらずだよな〜」

「まったく……あきれて言葉もでやしないよ」

「そうなのか?」

「ああ、そうサ」







へ、と鼻で笑って肩をすくめるとアホ神子に背を向けてみせた

ロイドがくすりと笑う







「そういいつつ、さっきからゼロスの事気にしてるみたいだけど?」








鈍感なくせに、こういう事だけは鋭いんだから









そんな事ない、と強く言い放ったけれど ロイドはそうかあ?なんて笑いながら

からかってきて、くそ こいつって感じ

もうあいつなんてどうでもいいんだ、て思いつつやっぱり3歩も歩けば振り返ってしまう気になってしまう










畜生、自分だけがこんなに心配で気になってどうしようもなく胸が高鳴って

自分ばっかりで、すごく腹立たしい






あいつは、自分にあんな事をしたくせに、何の感情も抱かなかったのだろうか

あいつにとっては、甘い台詞も、軽いキスも、抱擁もただの日常茶飯事で

何でもない事だったのだろうか








嗚呼、むかつく








蹴り飛ばして殴ってしまいたい衝動を胸の中にそっとしまいこみ、

あたしは鼻を鳴らしてゼロスに背を向け歩いていった








次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ