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だいすき 1
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「馬鹿神子」

「お褒めの言葉、あ〜り〜が〜と〜」

「褒めてないっての、アホ神子」








振り返れなかった

動けなかった







そのまま俯いたあたしの目から

耳につけてるイヤリングのような

真珠みたいな小さな涙が、ぽたりと落ちた








「何泣いてんだよ、馬鹿しいな」

「うるさいね………」






後ろから抱きしめられて

どうしてこうも涙が出るんだろう





一度出したらとまらない






鼻の頭がじんと痺れて

目元が潤んでまた目じりから頬を伝って涙が零れる







目元の涙を擦って、少しだけ振り返ってみた

何よ、と笑っているあいつの笑顔はいつもどおりなのに

服装がすました正装で、それが似合っててなんかむかついた









でもその笑顔







ダイアモンドより輝いて









魅了されていたら

そっと口元に






あたたかな

やわらかな






それは一瞬の小さな

それはほんの少しだけ








「エロ神子」

「ば〜か、こんなのエロイうちに入んないっての」







柔らかく蕩けそうな甘美なキスに、少しだけ 微笑を漏らした









つづく

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