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流れ星に願う
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「そんなに追い詰めて、追い込むくらいなら一言嫌だって言えばいいじゃねえかよ」

「そんなの!………そんなの、あたしに言えるわけないだろ………」

「俺さまが代わりに言ってやろうか?しいながびびってヴォルトと

契約できないからレアバードは諦めろって」

「ふざけんな!」






かっと、怒りに溢れた彼女が拳をゼロスに突き出すが、ぱしり と軽々と受け止められた





「それそれ、やっぱりしいなはそうじゃなくちゃ」

「あ、あんた………」





うひゃひゃ、と品の無い声で笑うゼロスに、しいなは拳をゆるゆると下ろした






「もしかして、元気付けてくれたのかい……?」

「さあ、どうだろうね」

「素直じゃないんだから」

「じゃあ素直に抱きついちゃっていい?」

「馬鹿」





げしりと足蹴にするその仕草がいつも通りで、

いつも通りなその仕草なのになぜだか落ち着いた





「じゃ、俺さまはそろそろと寝るとしますか」




ふわあ、と大口開けて大あくびをしたゼロスが椅子を軋ませて立ち上がった

しいなが追いかけようと足を一歩踏み出して、止まる






「…………ありがとね、ゼロス」

「あん?何、聞こえなかったんだけど」

「な、何でもないよ!」




ばしりとその背中を力の限り叩いて、笑った





「大丈夫、あたしなら 大丈夫」






その笑顔は、空に瞬く星のように きらりと輝いた





「おー」





ぽす、としいなの頭に手を置いてわしゃわしゃと撫でた






「しいななら大丈夫、俺も信じてる」






やけに真っ直ぐに瞳を見つめられて、呼吸ができないかと思った

どくりと胸騒ぎ、頬が熱くなって直視できない






(大丈夫、うん 大丈夫)





彼のその一言があれば、本当に大丈夫っていう気がしたんだ







(大丈夫)






その言葉を、おまじないのように心の中で呟いた










おしまい



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