TOD2

ラブアフェア
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「…………で?」

「で、じゃなくて 早くおぶりなさいよ」

「僕は子守をする為に物資保管所までの護衛をしているわけではないぞ」

「いいじゃない、疲れたんだもの」







あれから奇妙な笑い声を上げながら(夢の中で実験でもしていたのだろうか)

眠りこけていたハロルドが起きだすと、元気は2倍になっていた

こっちは疲労が2倍だとため息を吐いたジューダスに、ハロルドがまたのしかかる







「アンタの背中って何か落ち着くんだもの、いいベッドになるっていうか」

「僕はベッドじゃない」

「じゃあ携帯ベッドとでいいっしょ」

「無理矢理話をまとめるな」






ねえねえいいじゃない、早くおぶりなさいよ 早く と、畳み掛けてくるハロルドに

ジューダスはぎりっと睨み付けたが、天才科学者の前では形無しだ








「ねえジューダス、早く」

「わかったからひっつくな」







しょうがない、と思いつつ背を向けてしゃがめば飛びつかれた






よっこらせ、と立ち上がったジューダスの耳に、ハロルドが唇を付けた






「な、何をする!」

「お駄賃がわり?」

「いらん!」

「なあに動揺しちゃってんの、アンタってもしかして耳弱いの?」

「五月蝿い、落とすぞ!」






あはは、と無邪気に笑う彼女をおぶったジューダスの顔は、

耳まで真っ赤になっていた






(坊ちゃんったら、すっかり博士に言いくるめられてるんだから)






シャルティエが、口に出さずにくすりと笑った

そう遠くない未来に、自分は主の下を離れるだろう






幼き頃から共に過ごし、互いに依存してきた自分達が離れて

主がはたしてどうなるか心配だったが







「ほおら、早くしないとまた耳にチュ―しちゃうわよ」

「黙れ!」






無邪気にはしゃぐ二人を見て、シャルティエは

もう自分の居場所も必要無いのだな、と察した










(坊ちゃん、僕がいなくなっても)










心の支えとなる人と共に、旅を続けてくださいね






コアクリスタルを光らせて、シャルティエは騒ぐ二人を見守った

そしてその次の日に、彼らは互いに違う道を 歩んだ



おしまい



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