TOD2
□ナミダのRaindrops
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「こんな所で何をしている」
背を向けて座る桃色の頭に言葉を投げ掛けても、返答は無い
大きな雨粒が叩きつけてざあざあと耳につく音以外は静寂だった
服を濡らして肌を滑る雨にジューダスは心中で舌打ちした
「おい、風邪を引くぞ」
それでも返事は無い
「おい、ハロル」
「ちょっとあっち行ってて」
弱々しく小さく呟いた声は、雨音にかき消されてしまいそうな程はかなかった
「とにかくそんな所にいては風邪を引くぞ」
「煩いわね、ほっといてよ」
髪の先から指先から水滴がぽたぽたと落ちている
世話がやける奴だとため息を吐いてマントをかけてやった
雨に濡れて小さく自らを抱き締めるような形で、こちらに背を向けて座るその姿は
捨て猫みたいに、頼りなかった
ナミダのRaindrops