Main Dream
□入学
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「入学式よね。」
「そうだな。」
「・・・若いわね皆。」
「1年生だからな。」
だからどうした、という雑談をしているのは現青学生徒会長(兼テニス部部長)と副会長(兼テニス部マネージャー)である。新入生の整理やら何やらで猫の手も借りたい程忙しい彼らなのだが、声と手の動きが全くリンクしていない。一見声はサボっているようでも手は目まぐるしく動いて書類をさばいているのだ。まさに神業。
今年はテニス部顧問である竜崎スミレ先生の孫が入るだとかで、最初はボイコットしてその1年生を探しに行こうとしていた副会長なのだが、無言で圧力をかけてくる会長に負けてマジメに仕事をしている。その分の暇つぶしだと言わんばかりに口も動いているが。
「ねぇ手塚。」
「何だ。」
「この間大石から聞いたんだけどね。」
「・・・あぁ。」
「あ、ちょっと拗ねた。」
「拗ねてない。」
いや拗ねてる、と周りにいた役人が同時に心の中で突っ込んだ。
会話は尚続く。
「手塚、昔大和部長にケンカ売ったんだって?私見てなかったから初めて知ったんだけど。」
「そんなこともあったな。」
「意外とやるわね。」
「意外は余計だ。」
「何言ってるの、実はへたれな癖に。」
「・・・どうしてそうなる。」
「あら、白昼堂々語って良いの?」
「・・・やめろ。」
「了解。」
書類、残り一山。
「終わったら見に行って良い?」
「先生のお孫さんをか?」
「そう。ちゃんとクラスも調べてあるし。」
「別に構わんが。」
「じゃぁ手塚も一緒に。」
「俺は行かん。」
しばし無言の睨み合い。手は動き続ける。
「・・・ち、つまらないわね。」
「舌打ちするな。」
書類整理、終了。
勢いよく立ち上がった少女に手塚が常と変わらない口調で言う。
「戻ってきたら報告しろよ。」
お前の目は便りになるから。
少女は明るく笑った。
「勿論。」
入学式後のLHR.
怪しい3年女子がうろついていると1年生間で話題になったことは言うまでもない。
「別に怪しく無いじゃない?」
「お前は存在が怪しいんだ。」
<FIN>
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