Main Dream


□可愛い奴
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どうやら自分は、口の悪い相手に勝てないらしい。

そう気が付いたのは今から10年ばかり前、晴明に負け、冥官に負け、一人の少女に負けた頃だった。

その少女はと言えば、今ではすっかり大きくなって変わらずに彼をおちょくり続けている。

「・・・どうしたものか・・・」

「どしたの青龍。辛気くさい顔しちゃって変なものでも食べた?ダメだよ拾い食いしちゃあ。」

「俺は犬か!第一俺に食事は必要ない!」

「分かってるよ。短気だねぇ、全く。」

軽口に対して全力で突っ込んでしまう彼も彼だが、それと分かっていて神経を逆なでするようなことを言う少女も人が悪い。少女の年は数えで14。今から10年前のよちよち歩きの頃にはすでに、彼をおちょくって怒らせる術を身につけていたのだから末恐ろしいことである。さすがは晴明の孫。

「どうしてお前という奴は・・・!」

半ば本気の殺気を向けられても動じずに笑っていた少女は、明るい口調でサラリと言う。

「好きな人ほどいじめたくなるでしょ?」

いじめっ子が好きな女の子をいじめる理論で。

「・・・っ・・・!」

真っ赤になって沈黙した青龍に、黙って見守っていた他の十二神将達は思った。

一応、ここは廊下なんだけどな・・・

勿論、そこを突っ込むようなことは誰もしなかったが。

十二神将青龍。14の女子に言い負かされたある日の午後。

<FIN>









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