Main Poem


□死する刻
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黄金色の甲冑と

白銀色の盾を持ち

炎に照り映える槍の穂先を

氷を割砕く剣の切っ先を

愛しい敵へと突き立てる




名を呼んだ先にあったのは

血でまみれた彼の人と

血でまみれた私の腕と

黒く染まった永久の時




喪失の痛みすら分からず

嘆きの意味すら悟らず

涙の在処さえ知らず

腕に抱く骸さえ分からず

糾弾の声すら悟らず

君の在処さえ知らず

濡れそぼった大地に膝をついた

見えているのは壊れた歯車




時を刻む計りを亡くして

僕を知る術を忘れて

生きていることも忘却して

金の甲冑には薔薇の飾りを

銀の盾には蒼い御霊を

鋭い槍には咎の証を刻み

進む先への導とした

導く先には只暗闇




炎の上で終焉を待ち

氷の下で終焉を待ち

君の躯を抱き締めて

僕の心を抱き締めて

只終わりを嘲笑い

只終わりを嘲笑い

砕けた歯車に敬意を贈った




僕の在処は何処にあるのか

僕の歯車は止まったまま

永久の時を刻み続ける




決して終わらぬ終わりの中で






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