Main Poem


□鉄格子の隙間から
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聳える茨の塔

青い澄み切った空

見上げた僕は手を伸ばす

後数p

後数o

それで黄金の鍵に手が届く

それは地平線に等しく

月に等しく

絶望に等しかった




いつからここにいるだろう

滴る水音を聞きながら

いつからこうしているだろう

外を駆けていく鼠を見ながら

いつからここにいるだろう

鳥の嘲りを聞きながら

いつからこうしているだろう

差し出されたパンを見ながら

僕は考えることを止めない




知っているからだ

止めれば見えなくなることが

知っているからだ

止めれば届かなくなることが

知っているからだ

止めればあいつらの思うつぼだと

知っているからだ

止めれば何も残らないことを




例え世界が僕を忘れても

僕は忘れてはならないのだ

細く見える空に託すのだ

鳥に頭を下げるのだ

忘れてはならない

無くしてはならない

例え誰が覚えていなくても

僕だけは忘れてはならないのだ




茨の塔が赤く染まった

青い空が赤く染まった

僕は手を伸ばす

後数p

後数o

黄金の光の束を縞模様に受ける

それは命に等しく

温もりに等しく

希望に等しかった

気休めだと気付くまで後数秒




だがそれでも忘れてはならないのだ

だがそれでも失ってはいけないのだ

僕は覚えていなくてはいけないのだ




僕がここにいたことを






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