Main Poem


□誰かいる?
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低く消え行く空に色を満たし

深く薄れる海に心を沈める

高く唄う雲に思いを託し

浅く千切れる波に叫びを載せた

木霊は返ってこなかった




誰かいるか?

声に答える者はなく

誰もいないのか?

只ひたすらに風が過ぎる

誰かいるか?

掠れた慟哭を聞くのは星ばかり

誰もいないのか?

途切れた唄を紡ぐ者はいない




風が泣いた

私の音を声にする者は何処

木が泣いた

私の色を唄にする者は何処

空が泣いた

私の子を育む者は何処

海が泣いた

私の可愛い子は何処




荒野に佇む者はもはや人にあらず、獣の子




風が泣いた

人は何処

木が泣いた

人は何処

空が泣いた

人は何処

海が泣いた

人は何処、私の可愛い子は何処




荒野の獣は唄を唄った

答える者はいなかった

もはや彼は人にあらず

もはや彼は生きてはいない




嘆きの声すら聞こえない

生きる者は存在しない

心ある者は存在しない

鋼鉄と配線と瓦礫の荒野に

人たる者はもういない






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