変わった話

□泥中之蓮
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「さぁお前達、今晩も花街に御客様がいらっしゃる時間よ。準備はできていて?」

女将、ジェニュインの声が高らかに響きわたる。
毎夜の如く、代わる代わる男に抱かれる。
もう何人の男に抱かれたのか。

「あらお前、髪飾りが曲がっているわ。身嗜みはきちんとしないといけなくてよ?」
「っ女将、」

耳の上にある赤い髪飾り。
故郷の両親が持たせてくれた唯一の物。他の遊女達に比べたら飾り気の無い物だが弥子にとっての宝物だ。
慌て直す。

「お前達、一夜限りの永遠の夢をみせておやり!」






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