変わった話

□泥中之蓮
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今宵も咲き乱れる花々達。
其処にまだ蕾のままの乙女が一人。
幼き頃、名も知らぬ男に買われ売られた。
風の噂では両親より無理矢理、金と脅しで買われたと。
其れなりの階級の家柄で金には困ってないと云うのに。

最後に父に云われた“気高くいきなさい”と、
最後に母に云われた“泣き事はお止めなさい”と。
別れの日、見送る二人を振り返りはしなかった。
見知らぬ男の手を振りほどき大人しくついて歩く乙女。
そして男は笑って云う
“楽園の華になれ”
と…





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