BLEACH

□LOVE PRESENT*
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 結局、今年も七月十一日は隊の部下達や余所の親しい連中達と宴会を行う事が決定した。
「まあ、それはそれで楽しいからいいけどさ…」
 七月十日ももう終わりという時刻。
 京楽は寝間着に着替え、床につこうとしていた。
 だがしかし。
「うえっ!」
 障子を開けた途端、京楽は間抜けな声を出して硬直した。
「よう」
 隊主として京楽に与えられた広い部屋。
 その中央に敷かれた布団にちょこんと座っていたのは…
「じゅ……十四郎…」
「邪魔してるぞ」
 驚いた。心底驚いた。
 夜、この恋人が自分の元にやってくるなんて、軽く何世紀かぶりだ。
「ど……どーしたの?」
 布団の上に正座する浮竹の真正面で、同じように正座し、京楽は思わず背筋を伸ばす。
 怖い。浮竹がこんな深夜にやってくるなんて、説教か、さもなきゃ何らかの叱責だろう。
『ボク、何かやったかな……?』
 仕事関連で浮竹に迷惑をかけた覚えはない。
 十三番隊の女の子にちょっかいをかけてもいないし……昔みたいに、派手な女遊びもしてない。
 なら、一体――
「……」
「……」
 内心冷や汗ダラダラな京楽だったが、なるべくそれを表に出さないよう気を付けながら、口を開いた。
「えーっと……ボクに何の用かな?」
 その時、京楽はつまらない事に気付く。
 浮竹の髪を結うそれ。
 珍しく縛った髪。それを束ねるのは、リボンではないのか。
「誕生日…」
「……へ?」
 首を傾げる京楽に、浮竹は頬を染めて怒鳴った。
「お前が、誕生日プレゼントは俺がいいって言ったんだろっ」
 それはつまり――
「へ……えっ…………それって……」
 つまり、そういう事なのか。
「十四郎〜っ!!」
「うわっ」
 どすんっと、京楽は浮竹とともに布団に倒れ込む。
「ありがと〜十四郎、愛してるよー!」
 熱烈なまでの感激っぷりに、浮竹は頬を染めながらも、少し嬉しそうに笑う。
「オーバーな奴…」
「オーバーでもいいよ。それくらい嬉しいんだから!」
 浮竹をぎゅうっと抱き締め、京楽は幸せを噛み締めた。


 
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