たんぺんA
□ごめんねじゃたりない
1ページ/1ページ
喜ぶ、怒る、悲しむ、楽しむといった感情を抱くことの出来る人間は、それと同時にその感情を表に出す。手段はいくらでもある。言葉、行為、表情、音、
『もしもこの世界に私と二人きりだったとしたら、臨也さんは私を愛してはくれますか』
彼女は俺にとって特別で、尚且つ大切な存在であった。しかしながらその思いとは裏腹に、少しだけ彼女に抱いていたのは、恐怖
「それはそうなら成らざるおえないんじゃないかな」
『それは私を人間として、愛するという意味ですよね』
「君の考えにはそれしかないよね。可能性の話をしてるのに答えは一つだと決め付けている」
彼女は自分自身の事が嫌いであった。自分の事はこれっぽっちも興味がなく、それでいて人間をもっともっとと知りたがる。俺みたいなやつと一緒にいる理由もそこにあるわけだ。職業柄たくさんの人間と交流がある。彼女にとってきっと俺は、人間を知る上で使える駒でしかないのだ
『…別の考え方があるというのですか』
だから俺は彼女の事がこわくもあった。自分が人間を愛しているように、彼女もまた人間を愛している。もしかしたら彼女は俺なんかより、ずっと。これほどまで人間が怖い、そして愛惜しいと感じたのは初めてだった。それにしても俺の中の、彼女を想う気持ちは一体どこから湧いたのだろうか
「そういうことだ。君が何故その質問をしたのか、そんな理由はどうでもいいし気にしない。だけど少しでも可能性について考えを巡らせたら、例えなんてありとあらゆるものがでてくるじゃないか。例を挙げるとしたら、俺が君に好意的に想いを寄せているとかね」
『でも臨也さんはそんなことしないですよよ』
「何故そんな事が言い切れる?」
『だって私は、こんな風にしか人を愛せない大馬鹿者なんですよ』
ごめんねじゃたりない
そういって、不意に俺の髪に手を伸ばした彼女の悲しげな表情ったらなかった。けれど、それでめ彼女が伸ばした手が今もなお、俺の髪を撫でていることに対して、多少期待してみてもいいのではないかと思った
「なら俺は、そんな君しか愛せない大馬鹿者さ」
髪を撫でている手を掴んで、そっと彼女を抱き寄せた
「ごめんね」
@補足
おちがみつからない。あの策士のいざやさんが奥手とか…どうですか?←
20101023