たんぺん

□ごきげんよう、眠り姫
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チャイムの鳴ってる音がする。けどあれ、なんかもう何回もそれを聞き流しているような気もする



「ねえ、起きて」



耳にまだチャイムの余韻が残ってる。すると不意に耳が幸せって感じるくらい綺麗な声が、私の鼓膜を震わせた。今まで閉じていたらしい重い瞼を、擦りながら開けてみる



「おはよう」

『おは、え…』



もう一度発せられた綺麗な声は、私の目の前に何故かいた玖蘭くんと見事に一致。声だけじゃ無く顔のつくりまで綺麗に整った玖蘭くんはにこにこ笑ってるけど、私にはそんな余裕ない。何故なら玖蘭くんと私の顔の距離はわずか30センチぽっきりだからだ(ぽっきり?)



『えっとー、ちなみに今何時ですかね』

「午後の4時。君が眠りについてから早くも3時間が過ぎてるよ」



その言葉に一気に私の眠気は吹っ飛んでしまった。うっかり眠ってしまったのが、たしか英語だった5時間目。でもたしかに6時間目の数学をうけた記憶がない



『私、ずっと?』

「うん、可愛い顔して寝てたよ」

『か、かわっ』



可愛いだと?あのクラスでずば抜けて目立つ(かっこいい+頭いい+イケメン=パーフェクトな意味で)憧れの玖蘭くんが私を可愛いだと?しかし今はそんなことを考えるより、もっと考えなくてはならない問題が出てきた



『何時から、見てたの?』

「ずっとだけど?」

『ずっとって、』

「授業中からずーっと」



恥ずかしい気持ちと、何やってんのというあきれる気持ちとが入り混ざる。私どんだけ寝てたのさ。それにずっとみてたと言い張る玖蘭くんは玖蘭くんでおかしい、どうかしてる



「やっぱり好きなものはどれだけ見てても飽きないよね」



玖蘭くんの言う好きなものについて明確な答えを聞こうとすると、一緒に帰ってくれるなら教えてあげると言われた(それってつまり………ですよね?!)



ごきげんよう、眠り姫



20110310


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