*Story*

□恋を知らない蛹2
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ここは、あれかな?



牢獄なのかな??




「―――ふ」



にっこり笑って勝手口のドアをゆっくり引き戻す。



思わず「ふふふ」と笑みがこぼれる。



そして、後ろに立っている男と視線を合わせて、また笑う。


「あははは」


―「しししししっ」





コイツ、




何に笑ってんのかわからないのが面白くて笑ってんだろうか…



こっちは苦笑してるんだけど…




「――――…あぁ・・」



そしてつい手元の扉にうなだれてしまう。


湧き出る黒いオーラを纏う私の様子をまったく気にすることなく、






―「そんで??」


と、上から相も変わらず陽気な声。







そんなヤツとは対照的に


「………そんでって、なにが」


自分の声に生気がなくなっている気がする。






ホント、無理もないわ…


いろいろ状況がアレなんだもん。






―「オマエさ、学校とかいったけど、

ここの学校に通ってんのか?」






「一応…そうだけど。」


そういって顔をあげる。




―「ふーん。そっか!!!

じゃ、ちょうどよかったな!




一緒にいくぞ」








ん?










「それって、どういう…


やっぱりあんたも、…ココに通ってるの?」




見たことないけど…


まさか高校生…とかじゃ、ないわ…

あきらかに幼いし、ありえない。




自分が知る限りの全校生徒の顔入りの名簿一覧が一通りずらーっと頭の中をかけ巡る。




・・・・・いやいやいや





これでも生徒会長として1年、役員をして2年。

記憶にまったくないなんてことはありえない…



こんな子ザルくんは私の知る限りはいないはずだ…。






そんな風に考えていたらと


私の思考がヤツにも漏れていたのか、




―「いやーまだ≠セけど。」



そうケラケラと答える。





そういわれてまた府に落ちなかったが、

…とりあえず、考えても解決しない問題はさておく事にする。




「・・・・いやいや、それよりもっと気になってんのが『ココ』。この場所!


あんた職員寮に勝手に住み着いてるの?



そんなことって普通に無理でしょう。」





聞きたい事がとても有りすぎる。


さっきから5W1H〜がずっと頭を占めて、

なんでとなぜが繰り替えされている。





とりあえず、なぜ自分がここに居るのか状況が全く読めない。











とりあえず、解った事。

私と一緒に行くって事は…





「あんた…中学生なのよね?」

という事。



―「しししw
おう、まあな! お前も そこにある制服…


中学のだよな?」








相変わらず私が、たどたどしく尋ねてしまう姿がおかしいのか、

くすくすと笑い気味ににそう返してくる。




「(恥…)///っ・・・そうよ…



(…やっぱり中学生だった。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?)









そこの″制服????」




その言葉に一瞬自分の中で思考が止まる。







―「ほら、そこ」






ヤツが指で差す方向をみると、


物干しの所にに若干しわしわなんだけど、見慣れた服がかかっていた。







(・・・・・あれは、もしかしなくても

わたしの…制服だ…)






そんで自分の来ているものをもう一度みる。







「・・・・・えーっと・・待って」






「なんだ?」







「・・・これさ、あんたの服…だよね?」




そして来ているTシャツの裾を軽く引く。





「おぉ、そーだぞ。」





―――やはり肯定らしい。





「じゃ、…さ。



も、もしかして…さ



これ着せかえたのって・・




あんた?」







「おお。そーだな!」





なんら表情を変えずあっさりと認めてくる。





「じゃ、じゃあ…さ。



も、もしかして



あれ″・・・脱がせたのも・・・・・



あんた?」





自分が覚えてる限り…昨日は暑くて、インナーを脱いでいた覚えがある…


つまり…



かろうじて上下の下着だけだったわけで…













・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






















しばし部屋に沈黙が流れる。







―――その空気をやぶる様に、





「よっっ…こらしょ」



と、かがんでいたヤツが自分の両膝を叩いて立ち上がる、










「さて…、










顔洗ってこいよ。」





そういってにっこり笑う。








「っ…ごまかすなッッ//////!?!?」



そういって手元の枕を、奴にむかって投げる。




それをキャッチして、焦って逃げるように歩き出す奴のシャツをガシリと掴む。





「わっと!;


んな急に引っ張んなっ!!!はなせ!!!!」




「待ちなさい!!みたのね〜…

見たのよね????!!!

あたしの…あたしの、はッ・・はだ 



「「ΣΣハダカなんてゼンゼンミテネェっ!!!」」





言ってんじゃない!バレバレのうそつくなッ!!!////!!!!」





「やめっ・・!もー離せー!!!!」



「うそつき!!!変態変態!!バカ!!さる!!!////


…信じらんない!!!」





ばっ




そういった瞬間ヤツが振り返って




「ひどい言いぐさだな!

いーか俺は変態じゃねぇ!!それにピンクの下着姿だけで、マッパを見たわけじゃねえだろが!!!!!!」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








「マッ・・・!!!!!!!!!!!!!


―「・・あ。」


その瞬間、ヤツの顔がしまった…をいう顔つきに変わる。



ΣΣやっぱり見たんじゃない----!!!/////」



恥ずかしさから、目の前の肩やら胸板やら頭やらをボカスカ殴る。





―「っイテ!・・ってぇ!!!

あーしまったうっかり言っちまった。




も〜いいじゃん、べつに減るもんじゃねぇしよ。」


ばれたらしょうがないか…と堂々とそういって目をつぶってナミの攻撃に半笑いで耐える、目の前男の襟首を持ち上げるようにつかむ。



「ひらきなおるの?!!

も〜許せない…!!」



そういって再開しようとした攻撃を



(ぱしっ)



っと両手とも相手の手に掴まれて制止される。


ただでさえ恥ずかしさで気が動転してしまっているせいで、



目の前のヤツの力に敵わないとはわかっていてもなんとか抗おうともがく。




―「・・・ちょっと落ち着けって、


はぁ、オマエさ、昨日なにがあったか覚えてるか。」





そういって、半泣きで真っ赤になって怒っていたナミの顔をじーっと覗き込む。





「…きのうって、雨宿りの…




(あれ・・・っ――――」



その瞬間







くらりと視界がゆがむ。






―「っ・・と」


ぽすっ


かろうじてまたヤツの腕に支えられて、視界が晴れてはっとする。



「・・・・なんか、急に頭が・・・ごめ…」



その瞬間、受け止められた腕の中で一つの事にきづく。


「・・・(あれ…この香り…知ってる)」






―「はー




だから、これだよ。」





そう、つぶやいたヤツの腕を借り、

よりかかっていた姿勢を定位置に戻す。





「・・?、これ?」





「昨日俺がお前に何してやったか、まったく覚えてないだろ??」




「(してやった?)どういう…」




そんなナミのぽけっとなった姿に毒気を抜かれたのか、



「!それはまぁいいや・・とにかくだ、着替えろ。」




そういってハンガーにあった私の制服を、ヤツがぽいっと手渡して、


後ろから背を押されたかと思うと、どうやら洗面所の方へ促された模様。



「…ちょっ、さっきの事まだ(何も解ったてない)・・・・!」



―「はやく着替えねーと。時間ねえんじゃねぇのか、さっき自分でいってたじゃんか。


まっててやるから早く準備。」



それだけ言ってドアを閉められる。





・・・・・・



やはり腑に落ちない…





けど今、奴の言う事は正論だ。



洗面所前に置かれている時計を見る。



「!、とにかく時間なかったんだった…」



自分の置かれている状況を冷静に受け止める。






その時同時に、扉の向こうの方から




ししッ と柔らかい笑い声が聞こえた。

















――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――





・・・・・・・・・・






洗面所からでると、奴も赤いTシャツを着て、

ココの生徒のシャツを羽織ろうとしていた。




「あんた何年?」




―「ん〜2年かな?」




(一緒??)





「…じゃ。じゃあ、とりあえず、ここから中学棟までの近道わかる?
そしてできれば、あまり人目につかないようにしたいんだけど…」



この職員寮、自分の方が慣れない場所なので、

住人である目の前のヤツに聞いたほうが良いと判断する。



―「おう、すっげえ最短コースで連れてってやるよ。」


「よかった!じゃはやくあんたも準備しなさい」



ナミはそう言いながら、


大雑把なんだろう…奴が、雑に着たシャツの

変な方向に曲がっていた襟首を整えて、一番下1つしかとめてないボタンをさらに1、2個留めてあげる。


「…おぉ、わりぃな。」



「うん。じゃ、行くわよ!」



いろいろ聞きたい事はある・・・・



あるけど何よりも



まず『学校』にいかないと!!!


            
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