::ニンジンケーキ::
□かくにん。
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休憩時間。
ソファで竜崎と向かい合う形でくつろいでいたら
ふと猫背が立ち上がった
トイレ
か
角砂糖が足りないのか
そんなことを考えながらティーカップをテーブルに置くと
ふと左手を持ち上げられた
見上げると
それはもちろん、クマの酷い彼のしわざ
なに?
と訊く暇もなく
元の定位置(わたしは左手を太ももの間に挟み、固定する癖がある)にふわりと戻され
ぺたぺたと行ってしまった
なんとなく
ご機嫌そうな猫背を見送る
わかったのは、その謎の左手誘拐事件が続いて3日目
大丈夫だよ、竜崎
わたしは毎日肌身離さず、つけてますから
控えめに輝く
華奢なデザインのリング
もしかしたら
プレゼントされたわたし以上に
あなたは喜んでくれてるのかな
「似合いますね」
珍しく目を細めて微笑んだあなたを
思い出した
END.