12/29の日記
06:54
ある日の神
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俺は柄にも無く白い部屋で小説を読んでいました。何とかという人が書いた何とかという小説を。
その部屋のドアを開け、一人の男が部屋に入ってきました。
男の頭はぼさぼさで髭をもじゃもじゃに伸ばし、皮膚は青紫色で爪はウインナーでできていました。
「私は妊娠の神である」
男は言いました。
「妊娠法第16条違反により、お前を無期つわりの刑に処す」
俺は戸惑いました。
妊娠法って何だ?無期つわり?
何もかもに心当たりがありません。妊娠法なんて物があった事すら知りませんでしたし、そもそも妊娠などしていませんし、何より俺は男です。
「人違いではありませんか?」
俺は思い切って妊娠の神に言いました。
神と呼ばれる人と話すのは初めてでしたし、見た目が常軌を逸していた為下手な事を言うととんでもない事をされるのではないかと気が気ではありませんでした。彼の機嫌を損ねると俺の爪までウインナーにされてしまいそうな気がしたのです。
妊娠の神は持っていた鞄からファイルのような物を取り出し、ぺらぺらと見始めました。
そして暫くすると何も言わず、ムスッとして部屋から出て行きました。緑色の趣味の悪いスニーカーを履いて。
持ってきていた唐草模様の傘は玄関に忘れていきました。外は雨だというのに。
妊娠の神がいなくなってから数分後、俺は凄まじい吐き気に襲われました。
頭痛にも襲われました。挙句の果てに指の先から緑色の汁が出てきました。
つわりってキツイなぁ、と思いました。指から出る緑色の汁があまりにも臭くて途方に暮れました。
そこでふと目が覚めました。
昼寝する前に柄にも無く小説なんか読むからこんな夢を見てしまいます。何とかという人が書いた何とかという小説を。
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