◇zack×aerith◆
□夢じゃない/切甘
2ページ/5ページ
キーコー
キーコー…
「なんか軋んでる音するな」
「古いから、ね」
「でもそれが好き」なんて彼女は言うけれど、俺にはよくわからない。
古いからこそ価値がある、というのも勿論あると思うが、この公園のブランコに関しては新しい方がいいだろう。
軋む音もするし錆びている。
「………」
ふと彼女を見る。
座ってブランコをこいでいる彼女と、立ってこいでいる俺。ここからは彼女の頭しか見えない。
顔を見ようと、俺は立ちこぎを止め、先程からギシギシと五月蝿いブランコに座る。
キーコー
キーコー
彼女のペースに合わせてこいでみる。
凄いスローペースだ。
じっと彼女を見ていると、やがて眠そうに大きく欠伸をした。
「眠い?」
「うん、少しだけ」
目をこすりながらにこっと笑う彼女が可愛くて、俺は立ち上がり彼女の後ろに回る。
そのまま後ろから抱き締めると、腕の中にすっぽりと収まった。
すると、暫くして彼女が俺に体を預けるように寄りかかってきた。
どうやら眠ってしまったようだ。
彼女のふわりとした甘い香りと、温かな体温に、俺もゆっくり目を閉じた。
キミを
見つめる
「エアリス…」
.