◇zack×aerith◆
□恋は百面相/甘々
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やっと!
やっとだ!
待ちに待った
誕生日!!
いやいや、自分じゃないんだけどさ
自分より楽しみな人
きっとその人より俺はこの日を楽しみにしていた
愛しの
俺の可愛い恋人
「どうだ…」
教会の扉のほんの隙間から、中を覗く。
今誰かに怪しいやつだと言われても、そうじゃないと言ったところで信じてもらえないような気がする。
だって自分で言い切れる自信がないから。
「エアリスは…」
いたいた。
いつものとこ。
彼女の大好きな、小さな花畑だ。花には流石の俺も叶わない。
いつもしゃがみ込んで、手入れを欠かさない。
でも決まって…
「扉には背を向ける」
定位置なのか自分の中で決まっているのか、どういう理由かは知らないが(何もないかもしれないけど)何故か彼女はいつも花の手入れの時は扉に背を向けて作業をする。
おまけに集中するため周りが見えなくなる。
音がしても聞こえなくなるのだ。
お陰でいつも驚かすことが出来る。それは俺の中のささやかな楽しみの1つだったりする。
現に、扉を開けても気付かない。
そーっと近付き背後に立ち、そしていつもならここで声をかけて驚かすのだが、今日はちょっと別バージョン。
ムギュッ
「きゃぁっ」
「エアリスー」
ギュッと後ろから抱き締めると、聞こえたのは小さな悲鳴。
もう!吃驚するじゃない、と彼女は振り返ってムッとした顔をするが、俺には可愛い顔にしか見えない。
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