□言い訳。
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なんとなく、いつも構いたい気持ちになるのは、
仲間だからとか
いつもビクビクされてむかつくからとか
ペットみたいに動きが気になるから
とか色々考えたんだよな。

あの時――試合が終わった後みたいに――
俺に、全部預けて、呆けたように眠る三橋の、子供みたいな幼い信頼を、俺は。
俺はまた、全身で感じたいんだ。
その甘さを、もう知ってしまったから。

『言い訳』

合わない目線。
すぐに遠のいていく背中。
色んなことを話したくて、色んなことを聞いてもらいたくて。
それで、オマエの口から色んなこと、聞きたいのに。

(…ビクビクされっと、ついむかつくんだよな)

「泉―」
「?おお、阿部」

桐青の試合が終わった。
試合後ダウンもせずに帰っていった三橋の、
調子が知りたくてふと通りかかった泉に声をかける。

「…三橋は?」
さっき9組がサッカーやってんのみたけど。
あの頼りない体をみかけてないような気がして。

「あぁ、休みだよ。熱出たらしい、やっぱ」
「…そっか」

仕方ねぇな。あんだけ体力消耗して、
あんだけ身もココロも燃焼すりゃな。

「俺と田島、昼に三橋んち行くけど。」
「あ、そうなん?」
「そう。昼ごはんがカレーだからって、田島。
三橋にメールしてさ。
ちゃっかりご馳走になる気なんだ、って俺もだけど」
「…メール、返ってきた?」
「…きたよ?」
「……俺も行くか。…あ、昼は委員会なんだ。
俺、帰りに寄るわ。
花井も三橋に渡したいものがあるって言ってたしな」
「そう?じゃぁ三橋にも言っとく」
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