□honey
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「…はぁ?」
思わず声が出る。

なんで、そこで。
顔赤くするところじゃないだろ。

「…なんだよ」
三橋の顔を見て、こっちが動揺する。
震える三橋の肩。
今にも泣くんじゃないかと思って、焦る。
てゆうかもう泣いてんじゃねぇの。
そう思って咄嗟に、
三橋の頬を手で掴む。

頬は乾いてる。
…泣いて、ないか。
でも。…

うえに向けた、その顔があまりにも可愛くて。
うっすら赤みがかった頬が。
潤んだ目が。
わざと目を逸らすその仕草が、
恥ずかしがりの子供みたいで。

三橋の薄い肩を掴んで、自分のほうへ引き寄せる。
三橋が抵抗しない。
もう少しだけ、強く。
もっと強く。
ぎゅうっと、三橋の身体を抱きしめる。

三橋の襟足に、顔をうずめる。
…そうか。こうすると、前よりも、確かに。
俺、背 大きくなったような 気するな。

「…う、」
三橋が俺の肩のなかで苦しそうに息をする。
三橋がすっぽりと、
俺の腕のなかにいる。

三橋の襟足から、汗の甘い匂い。
軽くてふわふわした髪の毛が、鼻先をくすぐる。
こうしてる時だけ、他の誰よりも、自分が。
三橋の傍にいるんだと、感じることができて。

「か」
三橋が戸惑いながら、呟く。
「…かっこよく、なったよ、ね」

「…」


俺の背、もっとでかくなれ。



END
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