SOS団の本
□眼鏡
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放課後。
俺はSOS団の活動の拠点となっている文芸部室へ足を運ぶ。
この行動がいつもの日課となってしまった俺は可哀想な高校生である。
部室に着くと、軽くノック。
これも日課といえば日課だ。
あの愛らしい朝比奈さんが着替えている最中に乗り込むなど俺が断じて許さないからな。
でも今日は返事がない。そのままドアを開ける。
そこには誰かいるもんだと思ったのに、誰もいない。
いつも部室と同化している長門さえ居なかった。
まさか、緊急事態とかじゃないだろうな。
長門が居ないといつも以上に不安になってしまう。
とりあえず俺は机に鞄を投げ出し、いつもの指定席になっているパイプ椅子に座った。
と、そのときノックが聞こえた。しばらくして、
「こんにちは」
と、あの黙っていれば絶対に女が集るであろうイケメンフェイスが顔を出した。
古泉一樹
いつでもどこでも笑みを絶やさない。いつも気持ち悪いくらいにニヤニヤしている。
「あれ、キョン君しかいないんですか?」
なんだ、その不敵な笑みは。
「大丈夫ですよ、今日はあなたを苛めている時間がないので」
そう言って古泉は、ドアを静かに閉めた。
いまのやり取りに疑問を持つ方もいるだろうが―そっちの方が多いだろう―俺達は自分でも認めたくはないが、そういう関係にある。
付き合うとかそんなもんじゃない気がするので、そういう関係としか言いようがない。
だが、すでにしているものはしている。…思った以上に恥ずかしいぞ、これ。
「今日はやらなければいけないことがたくさんあって。それにしても涼宮さんがいないと…どうしたんですかね」
「わからん。俺が来たときにはもう誰もいなかったぞ…まさか、またハルヒが?」
「いや、そのようではありませんね。『機関』からの連絡もないですし」
そう言って古泉は俺の前に座る。