SOS団の本

□眼鏡
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「本当はキスとか色々してあげたかったんですけど、あまりにも可愛かったもので」

男子に向かってそう何回も『可愛い』を連発するな。

「…何もしてないのか?」

「してほしかったですか?」

いえ、結構です。


よかった。

コイツが珍しく俺に手を出してこなかった。

「だから言ったでしょう?今日は、疲れてしまってそれどころじゃありません」


…そうか。

なんか、古泉が可哀想に思えてきた。



「古泉」

「はい」

「眼鏡かけろ」

「はい。でも…」

「俺の気が変わらないうちにやれよ」

古泉は、眼鏡を取り出してあの仕草でかけた。

まったく、何回もそれでかけんな。

「で、どうするんですか?」

もうここまできたら眼鏡属性があってもいいかな、なんて思ってしまう。

「今日は一回限りの大サービスだからな。もう二度とこんなことやんねぇぞ」

え?と疑問の声をあげる古泉に机に身を乗り出して近づく。

「…キョン君?」

言葉は疑問系だが、表情はどこかしら楽しんでいる。

そんな古泉の顎を掴んで引き寄せる。

「…サービスだからな」








眼鏡古泉にキスをする。


当たりそうで当たらない眼鏡とか、ちょっと赤くなった古泉の顔とかが俺をおかしくさせたのかもしれない。



短いようで長かったキスを終える。

俺の顔も古泉の顔もきっとなんとなく嬉しそうなのかな、と思った。


その後、古泉の眼鏡をはずしてみた。

「…?」

「ちょっとやってみたかっただけだ」

古泉が笑う。

「可愛いですよ、キョン君」

何言ってくれてんだか。

でも、今日はもう少し優しくしてやってもいいかな?

だって、古泉は本当に疲れているみたいで、俺には何もしてこないからさ。


椅子から立って古泉に近づく。

そして、古泉に机との距離をあけさせる。

「…座っていいか?」

「どうぞ」

語尾にハートがついたんじゃないかというほどの嬉しそうな声だった。

恐る恐る古泉の上に乗っかる。

「しばらくここにいてもいいか?」

「えぇ」
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