SOS団の本
□眼鏡
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こいつの指定席はここだ。
正面にこんな俺に見せつけているとしか思えない整った顔があると、少々複雑なものがある。
いつものボードゲームを出すのかと思った俺は意表をつかれた。
古泉は机においた鞄から大量の教科書やらなんやらを取り出し、机の上に広げた。
「本来はここには私事を持ってこないのですが、今日はさすがに家でやるにも多すぎると思いまして。涼宮さんに許可を得てここでやろうと思っていたんです」
「…で、いったいこれはなんの集まりなんだ」
俺は、机の上に広げられた本やら何やらを見て言った。
いくらなんでも多すぎるだろう、この量は。
完璧に俺のスペースまで埋めようとしている。
「まぁ、簡単にいえば課題です」
簡単すぎるな、おい。
これが全部課題なんていったら俺は死んじまうぞ。
「全てとは言いませんがほとんどは。すみませんが少々ここでやらせていただいてもよろしいでしょうか?」
どうぞ、どうぞ。ただし俺は手伝わないからな。
「大丈夫ですよ。あなたに助けていただくほどではありません」
そうかい。
どうせ俺はお前よりバカだよ。
これが特進と普通の違いってやつか。
「…すみません」
そんなニヤケ顔で謝られても何も伝わってこないぞ!
まぁ、いつもの事だからツッコむ必要もないが。
「では、やらせていただきます」
そういった古泉はまた鞄の中に手を入れてごそごそとしだした。
また変なのが出てくるんじゃないのか?という俺の考えは外れた。
また俺の意表をつくようなものが登場した。
「…お前、それ」
古泉は手に持っているものを自分の目線まで上げて、
「あぁ、眼鏡ですよ」
と言った。
「お前、眼鏡なんかかけてたか?」
「いいえ。でも最近視力が落ちてしまって。そこまで支障がでるほどではありませんが、一応」
そう言って楕円形のシルバーフレームの眼鏡をケースからだした。
長い前髪をよけながら眼鏡をかける。
思わず目が奪われた。
こんな古泉の動きに見とれてしまう俺も俺だが、完全に女子が失神するであろう華麗な動きが眼鏡をかけるというちょっとした仕草に出るのがコイツのすごいところだと思う。