創られた国のアリス

□公爵家とメイド
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真っ直ぐな道をひたすら歩く。

近く見えていたが、案外距離があるものだ。


そしてようやく門の前に着いた。

近くに迫るとより迫力を増す大豪邸。


黒い鉄門の奥にはもの凄く広い庭と屋敷へと続く道があった。

……まだ歩くんですかね…。

さすがにちょっと疲れた。


そんなことを思っていたらテンリが心配そうに覗き込んできた。


「大丈夫、アリス?疲れたよね?」

「大丈夫ですよー。あとちょっとですし!」


へら、と笑えば耳を垂らしたまま苦笑されてしまった。


「大丈夫だよ、アリス。ここからは歩かないですむ。」

「え?」


さっきまで鉄門の横に付いている受話器で中の人と話していたツバメさんが笑顔で言った。



ギイィィィィ


大きな音をたてて鉄門が開く。

すると屋敷の玄関らしき場所からこちらに向かって淡い白い光が伸びていた。


「…?(線路みたい…。)」


近寄って見てみると、白い光は線路のような形をしていて淡く光り続けている。



「アリス、そこ危ないよ?」




ガタンッ!!プシュウゥ〜…




ツバメさんの声を聞き振り返ると同時に、手を引かれ、ツバメさんの腕の中にすっぽり収まってしまった。


「!(…アイツ、絶対わざとだ。狙ってやがった…。)」


私はツバメさんの腕の中にいるとかよりも今、目の前で起こった出来事に驚いてしまって反応ができないでいた。

大きな音と強い風と白い煙の中から現われたのは小さな可愛らしい汽車だった。


「え…?これ、今どこから…。」

私を後ろから抱きしめたままのツバメさんを見上げて尋ねると、悪戯が成功した子供のような顔で嬉しそうに笑っていた。


「驚いたかい?門と屋敷への道をつなぐ汽車なんだよ。」


いや、私が聞きたいのはそこじゃなくて…、というのが顔に出てたのかツバメさんは口に人差し指を当てて、企業秘密と笑った。

そしてイライラした様子のテンリが勢いよく私とツバメさんを離したのだった。

…あれ、デジャヴ?





―――――




メルヘンな二両編成の汽車に揺られて、屋敷の入り口まで行くと、ドアの前にいたドア専門の執事さんが恭しくドアを開けてくれた。


「お帰りなさいませ、公爵様!」

「いらっしゃいませ、白ウサギ様!アリス様!」


ドアを開けた途端に大勢の執事さんとメイドさんが迎えてくれた。

その数に圧倒されつつも、軽く会釈を返す。

…ん、あれ?

今、公爵って…。


「えーと…公爵って…ツバメさん?」

「へぇ、知らなかったんだ?」

「すみませんっ!知らないといえど、なんか馴れ馴れしく…。」


慌てて謝るとツバメさんはキョトンとしてから楽しそうに目を細めた。


「責めているわけじゃないよ。…ただ、面白いなぁと思ってね。」

「…?何が…」


そこまで言いかけたところでテンリが口を挟んだ。


「公爵?僕は早くその話がしたいんだけど…?」


若干黒さ漂う笑みで私に近づいてきたツバメさんを制止させる。


「…分かったよ。誰かチカノにすぐに食事を用意するように伝えてくれないか?」

「もう用意できてますよ〜、ツバメ様。」


玄関のロビーに女の人の声が響いた。









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