創られた国のアリス

□公爵家とメイド
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三人で並んで歩いていると熱い視線を感じた。


(やっぱり…この二人と歩くのは人目を引きますねぇ…。)


二人が揃っているのがそんなに珍しいのか女性がキャアキャア言っているのが聞こえる。

二人はそんなことは慣れっこなのか、まったく気にしていないようだった。

そしてしばらくすると薄暗い路地に着いた。


「はぁ…ここ通るのめんどくさいなぁ。」

だるそうな口調で耳を垂らすテンリ。


「ここを通っていくんですか?」

「あぁ、そっか。アリスは知らないもんね。アイツの家へ繋がる道は全部迷路になってるんだよ。ここみたいに路地になってたり、生垣でできてたり屋敷を囲むようにね。」


へぇ…と感心したように頷くと、にこにこと笑いながらツバメさんが言った。


「セキュリティも兼ねた俺の趣味なんだ。…この道は生きているからね。関係者以外は迷わすように造られている。日々、姿を変えるんだ。」

「悪趣味…。」


呆れたようにテンリは溜息をついた。


「まぁ、そう言わないでくれよ。それにこの道は主人には従順だ。俺が開けといえばすぐに道が開くよ。……ほら、ね?」


ツバメさんの言葉と共にさっきまであった壁が動き、道を造っていく。

そして一直線の道の先には大豪邸があった。




『この世界の物は全てに命、意志がある。』


水時計の説明の際にテンリに言われた言葉を思い出した。

だから、全ての物に優しくしてあげてね?と優しい笑顔で付け足されたことも。



この世界は不思議だらけだ。

私の少ない記憶では測り知れない出来事がたくさんあるのだなぁ、と実感させられたのであった。










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