創られた国のアリス

□兎の家とベッド問題
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二人で横になっても余裕のあるキングサイズのベッドに寝そべる。

「ね、ところでさ。アリスって何処まで記憶あるの?」

「えーと…。自分の名前と元いた場所が少しって感じです。」

「あれ?元いた場所って…アリスって別の地区から来たんだっけ?」

「えーと、信じてもらえないかもしれないけど……多分、私…別の世界から来たんだと思います。」


そうするとテンリはムクッと体を起こした。

「え?それって…。」

そして私はこれまでの経緯と元の世界を記憶の有る限り話した。



―――――



「ふーん。じゃあ、アリスにとってこの世界の常識は非常識なんだ。」

「…信じてくれるんですか?」

私だったらこんな怪しい話、信じられないと思う。


「だって事実なんでしょ?アリスの言う事なら、僕は信じるよ!」

「どうして……。」

「んー…。なんとなくだけど僕が同じ立場になったらアリスも信じてくれそうだし。」

ハハッと爽やかな笑いと共にテンリは言う。



確かな証拠は何もない。

私の記憶もあやふやで自分自身が信じられない。

私がどんな人間かなんて誰にも分からない。

…でも、テンリはそんな私を信じると言ってくれた。


その事実に胸がいっぱいになって、涙目になってしまった。


「ありがとう……テンリ。」

真っすぐ目を見てお礼を言えば、少々顔を赤くしたテンリがどういたしまして、と言ってくれた。


その後、私はこの世界の説明を受けて眠りについた。





なにも知らない世界。

常識が非常識に変わる世界。


それでも私はこの世界で生きていけるような気がした…。













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