創られた国のアリス

□兎の家とベッド問題
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お風呂に長めに入ってしまったので急いで出て、テンリの用意してくれた服を着る。


真っ白なシルクのパジャマ。

少し大きいがとても着心地が良かった。

(このパジャマといい、家具の質の良さといい、テンリってきっとお金持ちなんだろうなぁ。…まぁ、ここでの物価が分からないから推測に過ぎないんだけど……。)

周りの家などと比べてもこの家の大きさや綺麗さは別格だ。


そんなことを考えながらリビングまで行くと、テンリがソファーに座りながら書類に目を通していた。

テンリは一般的に見ても格好よい部類に入るだろう。

…まぁ、可愛くもあるが。

(顔が良くて、お金持ち。しかも優しいとくればかなりモテるんでしょうね…。)

さっきの街中でも、テンリと話しているだけで女性の視線が痛かった気がする。


(うーん…一晩といえど、そんな方の家に泊まってもいいのでしょうか…?)

自問自答しているとテンリから声がかかった。


「アリス?座んなよ。どうかした?」

気配に気がついたテンリが不思議そうにこちらを見ている。

何でもないと笑いながらテンリの向かいのソファーに腰掛ける。

一瞬だけテンリが不満げな表情を浮かべた気がした。

え……私、また何かしちゃいましたか?


(うーん…僕としては隣に座ってほしかったんだけどなぁ。……まぁ、いっか。)

その後すぐに笑顔に戻ったことにホッとする。


「お風呂ありがとうございました。テンリも私のこととか気にしないでゆっくり入ってきて下さいね。」

「あ、僕はもうシャワーしてきたから大丈夫だよ。」

それは私がお風呂にはいってたから仕方な……「僕は普段からシャワー派だからアリスは気にしないでいいからね?」


考え読まれてましたか…。

そんなに顔に出てましたかね…。


「さって!そろそろ寝ようか。」

弾みを付けてテンリがソファーから立ち上がる。


「はい。おやすみなさい。」

「え?…アリスどこで寝るつもり?」


「え?ここのソファーを使わせてもらおうかと…。」


そういうとテンリは困った顔になってしまった。

(うーん…そっか。やっぱ一緒に寝るのはまずいよねぇ。僕のベッド広いから2人で寝るのは余裕なんだけど。…って、そういう問題じゃないか。)


「テンリ?あ、そうだ。毛布みたいなの貸してもらってもいいですか?」

「えーと、アリスは一応お客さんなんだからベッド使って?僕がソファー使うから。」

「っダメですよ!ただでさえお世話になっているのに…。」

「でも……。」



―――――



どちらも譲らずそんな言い合いがしばらく続いてテンリが疲れたように言った。

「アリスって意外に頑固だね…。……あの、さ…アリスさえ良かったら一緒にベッドで寝ない?あっ!もちろん何もしないし、一応キングサイズだから端っこで寝れば別のベットで寝てるようなものだし!!」


ちょっと顔を赤くして言うテンリが可愛くておかしくて笑ってしまう。

すると益々顔が赤くなるから余計におかしい。


「…図々しくて申し訳ないんですけど、一緒にベッド使わしてもらってもいいですか?」

「……もちろんっ!」

最終的には二人とも笑顔でベッドに潜り込んだのだった。













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