創られた国のアリス

□兎の家とベッド問題
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「あ、アリス。お風呂どうする?」

「…出来れば入りたいです。」


今日は疲れたから、お風呂にゆっくり浸かりたいなぁ…。


「了ー解。準備してくるから適当に座ってて。」

「お願いします。」


そしてしばらく経つと、お風呂の準備が出来たらしくて、テンリが呼びにきた。

バスタオルを渡され、浴室へ案内される。

白を基調とした綺麗で大きいお風呂だった。

服を脱ぎ、一通り体や頭を洗ってから浴槽に浸かる。

―――――



「はぁ、いいお湯ー…。」

しばらく寛いでいると、浴槽の横に掛けてあった受話器が大きく鳴った。


ジリリリリッ!! ジリリリリッ!!


「っあー。ビックリした。……これは出るべきなんでしょうか…?」

未だに鳴り続ける電話。
ふと受話器の横を見ると『内線』と書かれている横のランプが点灯していた。


「内線ならテンリですよね……?」

恐る恐る受話器を取り、耳に当てる。


「あっ!アリス?お風呂中にごめんね。」

テンリの声がしてホッとする。

「大丈夫ですよ。どうかしましたか?」


長く入りすぎたかと少し不安になる。
なにせこちらの常識は分からないから。


「うん。アリスの着替えのことなんだけど…。」

すっかり忘れていた。

着替えなんてあるわけないのに何も気にせず、お風呂に入るなんて…。


「アリス?平気?」

テンリの心配そうな声が聞こえて我に返り、平気だと返事をする。

「ならいいけどさっ。それでね、とりあえず上と下は僕の小さめのパジャマ用意したんだけどね……。」

そこまで言うと何故かくちごもってしまう。

「?」

「えーとね、その…あの、さ、…下着のことなんだけど……さすがに僕が用意するのはアリスも嫌だと思うから…明日買いに行かない?」

恥ずかしさからか最後の方になるにつれ、だんだんと声が小さくなっていく。


確かテンリに用意してもらうのは恥ずかしい。

電話の向こうで顔を赤くしているのであろうテンリを想像してしまい、私も恥ずかしくなり、顔が赤くなってしまった。











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