創られた国のアリス
□兎の家とベッド問題
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「あれっ?」
そしてふと気がついた。
…もしかして寝室って一つしかない?
テンリさんの家は一つ一つの部屋が大きく造られているため、部屋数が少ない。
余裕で40人は入るであろう大きさのリビングにキッチン、寝室、書斎兼仕事部屋、そして立入禁止の地下室。
かなりの大きさの家なのに、部屋はこれだけだった。
…まぁ、リビングのソファーにでも寝かせてもらえばいいんですけどね。
家での説明を受けた後、テンリさんが入れてくれた紅茶を飲みながら話す。
「ね、ちょっとお願いがあるんだけどさ。」
「なんですか?」
「その敬語…やめにしない?」
「えっと…これ癖なんです。多分記憶無くす前からの。」
苦笑しながら言うと、テンリさんは耳をピコピコ動かしていた。
「そっかぁ。…んじゃ、せめて名前は呼び捨てにしてほしいな。」
「えっ…。」
「……ダメ?」
正直、人のことを呼び捨てにするのは慣れていない…気がする。
でも、そんな上目使いで寂しそうに言われると…困ります……。
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