脱色駄文

□生と死と性と
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死は生を最も映やすモノなので……













「…っく、は…あ、ぁ」


ベッドに組敷かれ、名一杯首を絞め上げられて、僕は意識を手放しそうになりました。
快楽は与えられずに、首を絞められながらの情交は、今に始まった事でもありません。

この痛みに別段恐怖は感じないけれど、そうする貴方が僕は心配なので、必死に貴方に縋り付くのです。



貴方は、大丈夫なのですか?



貴方が僕よりもずっと強い事は知っています。
でも、貴方はこんなにも不安定なので、僕は気が気ではありません。

「はっ、やっぱり死ぬのは怖いか!?」


そう言いながらも、貴方はその手の力を緩めたりはしません。
それどころか、益々力を込めていくのです。

このまま、僕の首が折れてしまえば、貴方は満足出来るのでしょうか?

しかし貴方はそれをしません。


だから僕は、生と死の狭間をさ迷うばかりなのです。

首には痕ばかりが重ねられていきます。

僕に力が有ったなら、貴方を救えるのでしょうか?

でも、僕にそれは出来ないから、僕はただされるがまま、貴方を受け入れるのです。

僕に出来るのは、それだけだから……


『貴方が愛しい』などと言えば、貴方は僕を突き放すでしょうか?


それとも……


「ッは……ぁ、っ」


考える間にも首は締め付けられ、意識が遠退いていきました。

ほぼ完全に塞がれた気道は、ゼェと掠れた音を立てています。
血流の止まった頭は、血管を圧迫しているのでしょう、内側から押さえ付けられたように痛みます。












「ちっ、もうダメか」

ピンぼけした視界の先の貴方は、だらしなく唾液を垂らし、身体を痙攣させ始めた僕を見ながら舌打ちし、僕の首から手を離しました。

それと同時に、ズルリと貴方が出ていく感触があり、僕は何故か虚無感を覚えたのです。












「ど、して……殺し、て 下さ……か たの、で……?」


口を突いた言葉は切々になり、意図を汲み取るのは、難しいと思います。

しかし、貴方は理解されたらしく、途端に眉間を寄せました。



「死にたかったのか?あぁ?」



死にたい、と思う事は無いけれど、貴方の行為が僕には解らないのです。
だから、貴方を理解する為になら命くらい……










あぁ、そうか……














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