脱色駄文

□虚心坦懐
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虚ろなる者
心清き者
何の欺瞞も無く
静かなる者

肉体に空いた穴
その内の闇
それでも揺るがない心










『虚心坦懐』











こんな所で、変わらずに居るということが、どれだけ難い事か知っている。

それに蟠らない事が、どれだけ難い事か知っている。


だからお前だけは、変わらずに居てくれ。











「ノイトラ様。定例集会のお時間です」

いつも通りの、自室での会話。

いつも通りの、きっちりとした言い回し。

ストイックで、陰りの無いその様子は、陰ばかりのこの世界では、儚げで、壊れそうな危うさで、どうしようもなく不安を駆り立てる。


それでも、いくら汚そうと、いくら貶めようと、アイツは揺らがない。

あれ程不安定でありながら、揺らがない事を確信出来る。


不思議な話だ。










「ノイトラ様…?」


戸惑いながら、訝しげに問い掛けるテスラを一瞥し、扉に向き直る。

「行って来る」


「はい。行ってらっしゃいませ」



顔を見る必要など無い程、その声は柔らかだった。
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