お仕置き部屋
□俺だけを見て!
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それはまだ真選組をたちあげて江戸に上京してきたばかりの頃。総悟が13歳、俺が22くらいの頃
だった。
江戸に上京してばかりの頃は、女遊びに夢中になっていた。
一晩の付き合いなんて日常茶飯事だったし、決まった相手を作ることはなく、次から次へと女に
手をだしては、別れを繰り返していた。
薄っぺらい恋愛だとは分かっていても、やめられなかった。
当時から総悟のことが好きだった俺は、総悟の自分に向けるあからさまな嫌悪感を感じて叶わな
い恋に自暴自棄になっていたのかもしれない。
そんなある非番の日、河原を歩いていた。
真選組が出来てからというもの、副長という役者であることも重なり忙しくなかなか休みがとれなくて。
本当に久しぶりの非番だった。
土手に座り煙草を吹かしていると聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ、もしかして十四郎!?」
顔をあげると見覚えがある顔があった。
「…あーお前は…。」
こいつは…まだ近藤さんに拾われる前に付き合ったことがある女だ。
嫉妬深く束縛するところや、高飛車な態度があまり好きではなかった。
俺に心底惚れていたが、俺から一方的に別れを告げたのだ。
「久しぶり。あのね、私結婚することになったの。本当に好きな人ができたのよ。」
昔より大分角の取れた笑顔。
恋とはこんなにも人を変えるものなのかと、驚いた。
「へぇ、そうなのか良かったな。」
その時の俺は、本当に軽くて最低な奴だった。