お仕置き部屋
□火遊び
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いつもの土曜日の午後。
「トシ兄ィ〜、友達と遊んできまさァ!」
「ああ、ちゃんと5時までには帰ってくるんだぞ?」
「分かってまさァ!行ってきます〜!」
ウキウキと遊びに出かけていく弟を見送りながら、十四郎はこの前のことを考えていた。
銀八先生に言われてから少しずつだけどちゃんと総悟を叱れるようになった。
悪いことをしたら、ちゃんとしちゃいけないってことを口で言い聞かせて。
大抵はそれで分かってくれるが、何度も繰り返すような時は、やむを得ずお尻を叩く時もある。
最初は叩いたりしたら嫌われないか心配だったが、総悟が俺から離れていくことはなかった。
総悟はお仕置きすると毎回大泣きしてごめんなさいを繰り返すが、ちゃんと俺の言いたいことを分かってくれる。
子供は意外と人の気持ちを汲み取るのがうまいのかもしれない。
十四郎が自分の部屋で高校で出された課題をやっていると、けたたましい消防車のサイレンの音が聞こえた。
「あ?火事か?」
十四郎が窓の外を覗いてみると、何台も消防車が家の前を通りすぎていく。
窓をしめて再び課題をやりはじめようとしていると、リビングにある電話がなった。
「はい、土方ですが。」
「こちら、警察のものですが…実はお宅の子供らが神社の境内で火遊びをしていたらしく、境内に燃えうつって軽い火事になってしまったんです。」
「え…総悟が!?すぐ行きます!!!」
十四郎は電話をきったあとすぐに、財布と携帯だけもって家を飛び出した。
実はおとといも、同じようなことがあったのだ。
十四郎がちょっと目を離したすきに総悟が庭でちらしやティッシュペーパーなどをもやしていて、見つけた十四郎は冷や汗をかいた。
その時火遊びは危ないから絶対駄目だと言い聞かせ、ライターやマッチには絶対一人で触らないと約束させたはずだ。